補身湯−ポシンタン보신탕

説明:犬肉を用いたスープ

標準価格:1人前800020000ウォン

場所:専門店

辛さ:★★−

一言:夏負けを防ぐスタミナ料理

 

(犬肉のジョンゴル。)

 

【補身湯】

犬肉を用いたスープ。補身とは栄養価の高いものなどを摂取して身体を強健にすること。湯はスープの意。古くはケジャン、またはクジャン(狗醤)と呼ばれ、現在は犬肉忌避の風潮から補身湯という名称を嫌い、ヨンヤンタン(栄養湯)、サチョルタン(四節湯)などとも呼ばれる。また北朝鮮では犬肉のことを俗にタンコギ(甘い肉)と呼ぶため、タンコギタン、タンコギジョンゴルという名前でも呼ばれる。三伏の季節料理としても名高く、夏負けを防ぐスタミナ料理、または病気の時に栄養をつける料理として食べられることが多い。下茹でした犬肉を食べやすい大きさに裂き、茹で汁に調味料、香辛料を混ぜたヤンニョム(合わせ調味料)と、長ネギ、セリ、ゴマの葉などの野菜とともにもう1度鍋で煮込んで作る。臭い消しのために唐辛子やニンニク、エゴマなどの香辛料を多用するのが特徴である。主に専門店でのみ作られる料理で、一般の食堂などのメニューにはない。類似の料理としては犬肉を用いた鍋料理のジョンゴル、茹でた犬肉をタレにつけて食べるスユクなどがある。

 

※三伏:夏至から数えて3度目の庚の日である「初伏」と、4度目の庚の日である「中伏」、立秋後初めての庚の日である「末伏」の総称であり、1年中で最も暑い時期だとされる。

 

【補身湯の歴史】

新石器時代の遺跡から犬の骨が出土し、4世紀ごろに描かれた高句麗の古墳壁画(安岳三号墳)にも豚や羊と並び、屠殺された犬の姿がある。一般的に犬肉食は行われていたが、統一新羅、高麗の時代に入り、仏教の影響で肉食が禁じられると、犬肉食も同時に公には行われなくなった。再び犬肉食が始まるのは李朝時代に入り崇儒排仏の思想が広まり出してからである。当時の料理書には犬肉料理が多数記載されており、飲食知味方、山林経済、増補山林経済、閨閤叢書など多くの文献で犬肉の料理法、禁忌などを見ることが出来る。調理法も様々で、1670年頃に書かれた「飲食知味方」だけを例にとっても、腸詰め、串焼き、汁、蒸し物など実に多様だ。補身湯という名称自体は20世紀中葉に入ってから使われるようになった。それまでに使われていた狗醤(ケジャン)の狗という字を嫌ったためといわれるが、それも1988年のソウル五輪を前に再度名称変更を余儀なくされる。犬肉を嫌う欧米諸国の反発によるもので、一時補身湯という名称は姿を消したが、現在は徐々に戻りつつある。

 

【コラム】 〜唐辛子導入の料理〜

文献上、唐辛子の調理法が最初に記されたのは1766年。柳重臨が書いた「増補山林経済」という本に表れる。4種類のキムチと、4種類の肉料理、5種類の調味料に使われているのだが、この中で注目すべきは肉料理である。わずか4点の肉料理の内訳は牛肉料理に1点、犬肉料理に3点で、他の肉料理には一切唐辛子は使われていない。犬肉料理に唐辛子を利用する大きな理由があったのだろうか。その疑問を解くカギは三伏にある。三伏とは1年の中でもっとも暑い日。言葉を変えれば夏バテなど体力が落ちて、病気になりやすい日だ。昔の考え方でいえば病気の鬼神が取り憑きやすい日なのである。現在でも三伏には補身湯を食べる習慣があるが、それは栄養的な面よりも、むしろ呪術的な意味合いが強い。犬肉には鬼神除けの力があると信じられているからである。唐辛子も同様だ。唐辛子の鮮やかな赤色は鬼神の嫌う色であり、また刺激的な辛さもそうである。韓国で初めて唐辛子が使われた料理が犬料理。韓国料理が赤くなった理由はこのあたりにあるのかもしれない。