冷麺−ネンミョン냉면

説明:そば粉、緑豆粉などを用いた冷たい麺料理

標準価格:1人前3000〜5000ウォン

場所:専門店、焼肉店など

辛さ:−−− or ★★★

一言:夏の料理ではありません

 

(ムルネンミョン。好みでカラシと酢を入れて食べる。)

 

【冷麺】

そば粉、緑豆粉などを用いた冷たい麺料理。冷たい麺という意味でネンミョン(冷麺)と呼ばれる。もともとは北部の代表的料理で、現在は北朝鮮に位置する平壌と咸興が有名である。現在食べられる冷麺も、平壌式のムルネンミョンと咸興式のピビンネンミョンに大別される。ムルネンミョンは、冷たいスープに麺を入れたもので、ソバ粉や緑豆粉を用いて麺を打ち、牛肉、または鶏肉、キジ肉などでダシをとったスープにトンチミ(汁を多めにし味を薄めに作った大根のキムチ)の汁を加えてスープを作る。薄切りの牛肉、薄切りの大根キムチ、梨、ゆで卵などの具を載せ、カラシと酢を添えて供される。ピビンネンミョンはスープを作らず、エイやカレイなどの刺身を載せ、唐辛子をベースにした激辛のヤンニョム(合わせ調味料)をかけ、混ぜて食べる。麺の材料もジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシなどを原料にして作られ、同じ冷麺でも平壌式とはだいぶ様相が異なる。両者に共通する点は、麺が押し出し式の製法で作られることがある。南部で作られるカルグクス(小麦粉を用いた麺料理)が切り麺であるのに対し、冷麺は粘り気の少ない材料であるため押し出し式で作られるのが特徴である。ムルネンミョン、ピビンネンミョンともに専門店、または焼肉店で食べられる。一般の食堂でも夏になると冷麺を始めるところが多い。類似の料理としては刺身を具に載せたフェネンミョン、葛粉を材料にして作ったチンネンミョンなど多数が存在する。

 

【冷麺の歴史】

冷麺の古い記録としては、洪錫謨によって1849年に書かれた『東国歳時記』がある。この本の11月(旧暦)の項に冷麺に関する記述があり、そこには「冬の時食として、蕎麦麺に菁葅(大根漬)や菘葅(白菜漬)を入れ、そのうえに豚肉を和えたものを冷麺という」と書かれている。冷麺のすぐあとの項目が、冷麺のスープに使われる冬沈(トンチミ)であることからも、冷麺がもともと冬の料理であったことがわかる。また東国歳時記には「冷麺は、関西地方(※1)のものが、もっともよい」とも書かれており、平壌地方が有名であったことを示している。朝鮮戦争によって南北に分断された後は、南でも冷麺を売る店が増えたが、今でも本当にうまい冷麺は北朝鮮に行かないと食べられないという人も多い。2000年6月に南北首脳会談のため北朝鮮を訪れた金大中大統領も、平壌にある玉流館という有名店で冷麺を食べている。金大中大統領は店を出るとき「私はずっと玉流館の冷麺を食べたいと思っていた。本当においしかった」と感想を述べたそうだ。本当にうまい冷麺を食べたかったら、やはり北朝鮮を訪れる必要があるのかもしれない。

※1、朝鮮半島西部。現在の平壌あたりを指す。

 

【コラム】 〜冷麺は夏の料理ではありません〜

日本では夏になるとラーメン屋の入口に「冷やし中華始めました」の貼り紙が出る。同様に韓国でも夏になると「冷麺開始」の貼り紙が貼られ、ああ夏になったんだなあと季節を感じる。今でこそ冷麺は夏の訪れを告げる季節食となったが、もともとは冬に食べる料理であった。寒く凍えるような冬にキンキンに冷えた冷麺を食べるなんて、それは我慢大会?? とも思ってしまうが、さにあらず。韓国の冬はオンドルという暖房設備があるために想像以上に暖かい。オンドルとは床の下に張り巡らされたパイプにかまどの煙やお湯などを通し、床を暖めるという設備。これがあるために韓国の冬は決して寒くないのだ。おまけに冬は空気が乾燥する季節。オンドルのきいた暖かい部屋で、冷たい冷麺を食べるのは非常にさわやかなもの。寒い冬に暖かい部屋で冷たい冷麺を食べる。これが韓国の粋なのである。