コリ梅

174-そのツボはちょっとわからない

 

 

「韓国にはない日本的なものはないですか?」

 

韓国からやってきた知人が僕に尋ねる。

僕は周囲を眺めながら、うーんとしばらく考える。

ここは東京の築地にある場外市場。

僕は通訳兼ガイドとして付き添っていた。

 

「バリエーションに富んだオデンの具はいかがでしょう?」

 

築地は新鮮な魚がたっぷり手に入るので、

その魚を使用した練り物類が充実している。

オデン専門店でも見かけないようなタネも多い。

 

「ダシ汁を入れて巻いた卵焼きはいかがでしょう?」

 

築地は寿司店に卸す厚焼き玉子が名物のひとつ。

こってりとした甘さは、韓国のケランマリと一線を画す。

ムラなく焼く技術は長年かけた修練の賜物だ。

 

「日本料理のダシに使うカツオブシはいかがでしょう?」

 

韓国ではそもそもカツオをほとんど食べない。

日本食の普及で、カツオブシの存在は知られてきたが、

築地の専門店で扱うカツオブシは質がよく種類も多い。

また、削る前のカツオブシというのも今は珍しい。

 

だが、熱弁むなしく、どれも希望には添わなかった。

途方に暮れつつ、それでも市場をぐるぐる歩いていると、

 

「あ、こんなのがいいな!」

 

とひとつの品物にぶち当たった。

知人が購入したのは、おつまみとして食べるマグロの角煮。

真空パックになった1袋500円の商品を、知人は5袋購入した。

 

なるほど、そこがツボであったか。

いくら韓国語が話せても、そのツボはちょっとわからない。

 

 

20070520

 

 

 

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