コリ梅

158-俺の異名2006

 

 

とある冷麺の専門店。

海原雄山が美食倶楽部調理主任の中川を伴って入ってくる。

 

「店主、この店は冷麺の専門店だな」

「はい、さようでございます」

「ではこの店で一番旨いと自信のある冷麺を食べさせてくれ」

「はあ、それではムルレンミョンはいかがでしょう

 産地に委託飼育してもらった韓牛でスープを作っております」

「ふむ、それを出してみろ」

「はい」

 

しばらくして冷麺が運ばれてくる。

 

「お待たせしました。お好みで卓上の酢とカラシをお使いください」

 

テーブルの上には酢とカラシの入れ物が置かれている。

それをちらっと見て、顔をしかめる雄山。

無言のまま冷麺をひとすすりし、一瞬動きを止める。

 

「ふむ……」

 

おもむろに卓上の酢とカラシを冷麺に少量加え、

もう1度、静かに冷麺をすすって言う。

 

「失格だな」

「ええっ、どうしてですか!?」

 

顔色を変えて問い質す店主。

それに対し、雄山は表情を変えぬまま答える。

 

「先ほどこのスープは委託飼育の牛を使ったと言ったな」

「はい。大事に育てた韓牛の胸肉部分だけを使用しております」

「ふむ、それは客に何を食べさせようと思ってのことだ?」

「そ、それは。韓牛ならでは奥深い味わいを……」

「では、なぜそこに酢とカラシを入れねばならぬのだ?」

「え!?」

 

予想外の問いに驚く店主。

 

「そして、もうひとつ聞こう。この酢とカラシも特別注文のものか?」

「い、いえ。それは業者から仕入れているもので……」

「新鮮な蕎麦粉で麺を打ち、韓牛でスープをとっておきながら、」

大量生産の醸造酢と、市販の練りカラシを使う無神経さは許しがたい。

不誠実な商売をしているととられても仕方がないな」

「う、うう……」

「この店に専門店を名乗る資格などない。帰るぞ、中川」

 

立ち上がって店を出る海原雄山。

料金を支払い、慌てて中川が後について出て行く。

 

果たして山岡士郎はこの後登場するのだろうか……。

 

 

※この話は漫画『美味しんぼ』を元にした創作です。実際の漫画とは一切関係がありません。

 

20060716

 

 

 

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