コリ梅

142-新大久保と僕

 

 

会社でのひとコマ。

 

「八田くんっていつも新大久保にいるの?」

「んー、いつもではないけど週に何度かは必ず行きますね」

「なんか話聞いてると、いつも新大久保で飲んでるよね」

「ま、飲むとなったら新大久保が多いですね」

「そうなるともう新大久保の主みたいなもんだよね」

「いや、そこまでではないですけど……」

 

新大久保は東京を代表するコリアンタウン。

東京にいながら韓国を感じるには最適の町なので、

僕のような韓国好きは週に何度も足を運ぶ。

会社の人も僕の韓国好き、新大久保好きをよく知っている。

 

「せっかくだから1度韓国料理を食べに連れてってよ」

「あ、いいですよ。なんなら今日にでも行きますか?」

 

というような流れからトントン拍子に話が決まり、

会社の同僚たちを新大久保に案内することになった。

 

「新大久保で流行中の豚焼肉でも食べに行きましょう」

「いいねえ、いいねえ。みんな行くよね」

 

と、盛り上がったところでひとりの社員が声をあげる。

 

「あ、ダメだ。今夜遅くに書類が届くんだ」

 

どうしても今日中に受け取らねばならない書類らしい。

ひとり置いていくのも悪いので、みんなが口々に助言をする。

 

「ちょっと早めに届けてもらうとかは?」

「そんなの明日にしてもらえばいいじゃない」

「書類と豚焼肉とどっちが大事なんだ!」

 

無責任な声が飛び交う中、さらにひとりの社員が言う。

 

「新大久保に送ってもらいなよ。『東京都新大久保 八田様』で届くよ」

 

いや、さすがにそれは届かないと思う。

ていうか届いても嫌。

 

 

20051018

 

 

 

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