コリ梅

135-人気の秘密

 

 

韓国のとある地方都市での話。

若者たちで賑わう繁華街の一角に、

人気のピンス(カキ氷)専門店があると聞いて行って来た。

しかも人気があるだけでなく、一風変わった店だともいう。

 

「いったいどんなところだろう」

 

ワクワクしながら、教えられた道を行くと、

探すまでもなくその店はすぐに見つかった。しかも2店。

 

隣同士になった2軒のピンス専門店は、

賑やかな繁華街でも異彩を放つド派手な店であった。

1軒は巨大なイチゴのオブジェが看板がわりに掲げられており、

もう1軒には同じく巨大なバナナのオブジェが貼りついている。

外壁はそれぞれのテーマカラーである赤と黄色で塗り潰され、

ガラス窓の部分に店名が大書されていた。

 

ファンシーというよりは、むしろファンキーに近い店舗外観。

 

店の名前はそれぞれ「イチゴマニア」と「バナナマニア」で、

韓国語では「タルギメニア」と「バナナメニア」となる。

 

見るからに暑苦しい感じの店だと思われたが、

中をのぞいて見ると、若い女の子を中心に店は繁盛していた。

 

この店のメインメニューは店名通りイチゴとバナナのピンスである。

 

スライスイチゴをたっぷり乗せたタルギピンスと、

スライスバナナをたっぷり乗せたバナナピンス。

 

しかも、その量というのがハンパではない。

 

優勝カップのような器にたっぷりのカキ氷が用意され、

そこに、まずメインとなるイチゴ、バナナ以外の具が乗せられる。

アズキ、各種フルーツ、ナタデココ、小さな韓国餅、チョコレートなどなど。

それに加えて目一杯のイチゴ、バナナがトッピングされるのだ。

 

どちらも3〜4人で食べてちょうどいいくらいの量。

 

タルギピンスには50個のイチゴが使われ、

バナナピンスには10本のバナナが使われる。

 

山盛りになったカキ氷の表面を、

スライスされたイチゴとバナナがびっしりと覆うのだ。

初めて見た人は、例外なく笑ってしまうという。

 

この2店はきっちりと狙って作った同系列の店舗であり、

そのためか互いのメインフルーツを使わないというこだわりもある。

タルギメニアではバナナを使わず、バナナメニアではイチゴを使わない。

他のフルーツは共通しても、そこの線引きはきっちり守られている。

 

しかし物事にはすべからく例外がある。

 

どうやらこれも意図的に作られたイベントらしいが、

月曜日の午後2時から4時までの2時間だけは裏メニューが認められる。

その時間帯に店に入って、「ミックスピンス」を注文すると、

片面がイチゴ、もう片面がバナナで覆われたピンスが出てくるのだ。

これはどちらの店でも同じである。

 

このミックスピンスのことは公にはされておらず、

メニューにもないし、それ以外の時間に注文しても受け付けられない。

どころか「そんなメニューはありません」と、とぼけられてしまう。

店員の立場では存在すらも否定される裏メニューなのだ。

 

ただ、この話はあっという間に広まってしまったので、

店の常連たちは、みなミックスピンスの存在を知っている。

その日の気分によってイチゴにしたり、バナナにしたりしつつ、

時々わざわざめがけてミックスを食べにくるらしい。

 

このちょっとスペシャルな2時間のために、

2つの個性的なピンス専門店は連日大人気なのだとか。

商売というのは本当にアイデア次第なのだとわかる。

 

この夏には3店目となるマンゴーマニアも準備中との噂があるが、

例によって店側は口をつぐんでおり、真偽のほどは定かではない。

マンゴーマニアが出来たら、3種類ミックスも可能になるのだろうか。

ちょっと楽しみである。

 

 

20050701

 

 

 

戻る