コリ梅

112-与那国島のチキンカレー

 

 

沖縄本島からさらに南。

台湾まで約120キロの地点に与那国島はある。

 

この与那国島は、日本最西端の島なので、

島にあるすべてのものが、日本最西端の○○となる。

日本最西端の山、日本最西端の学校、日本最西端の民宿。

西崎という西の岬には日本最西端の碑が置かれ、

与那国町観光協会では日本最西端の証を発行している。

 

そんな与那国島に1軒のカレー専門店がある。

言うまでもなく、日本最西端のカレー専門店である。

この日本最西端の店でカレーを食べたというのが、

僕のひそかなる自慢のひとつだったりする。

 

ユキさんち、と呼ばれるこの店では、

本格的なカレーを日替わりで1種類ずつ出している。

僕が食べたのは、トマトの酸味をきかせたチキンカレーだった。

今思い出してもヨダレが出る。思い出の味だ。

 

ある日のこと。

日本最西端のカレー専門店に行った自慢話をしていたら、

偶然にも、その店に行ったことがあるという人に出会った。

 

「え、本当ですか?」

「うん。僕も与那国島に行ったんだよ」

「日本最西端のカレー屋さんにも行ったんですね」

「うん。行った行った」

「あそこのカレーはいいですよね。ロマンがある」

「そうね。カレーもよかったけど、やっぱりトイレが衝撃的だったな」

「え、トイレ?」

 

僕は知らなかったが、その店のトイレは、

カレーと並ぶ、もうひとつの名物なのであった。

やけに広い個室の真ん中に、ちょこんとひとつ便器があり、

なんとも落ち着かないつくりになっているのだという。

 

「与那国島まで行って、あのトイレに行かなかったの?」

「え、ええ。存在すら知りませんでした……」

「それはもったいないことをしたねえ」

 

日本最西端の衝撃的なトイレ。

それを経験してこなかった僕の後悔は大きい。

 

20040830

 

 

 

戻る