コリ梅

108-あのとき辛かったオイキムチ

 

 

今まで食べた中で、いちばん辛いキムチ。

それは、高校生の時に食べた、オイキムチである。

 

当時、僕は近所のスーパーでアルバイトをしており、

閉店作業の際、売れ残ったオイキムチをちょっとつまんだのだ。

そのときの衝撃は、忘れようとしても、忘れることができない。

 

僕の食べたオイキムチは、信じられないほど辛かった。

 

どのくらい辛かったかというと、

翌日、学校に行き、友人たちに熱く語ってみせるほど辛かった。

その尋常でない辛さを、身振り手振りで説明し、

 

「ようし、そこまで辛いなら試しに持ってきてみろ」

 

と、友人たちに言わせるくらいの辛さであった。

生半可でない辛さ。辛いどころか、痛いという表現が似合う辛さ。

さらに説明するならば、「持ってきてみろ」と強がった友人たちが、

 

「すまん、俺が悪かった」

 

と、涙を流して謝るくらいの辛さである。

まだ、キムチがさほど世に知られていない時代。

単純に唐辛子をまぶしただけのものだったのかもしれない。

 

だが、その記憶もはるか昔。

僕は大人になり、辛いものへの耐性もだいぶ身につけた。

韓国料理をずいぶん食べてきたせいか、

普通の人よりも、辛いものにはいくらか強いようだ。

 

だからこそ、あのときのオイキムチが思い出されて仕方ない。

 

学校で大騒ぎしてまで、その辛さを訴えたオイキムチ。

強がりを言った友人たちが、涙を流して後悔したオイキムチ。

あのオイキムチは、果たしてどのくらい辛かったのだろう。

できることならば、もう1度勝負をさせて欲しいと思う。

 

20040629

 

 

 

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