コリ梅

102-大根旗を翻して

 

 

通いなれた駅までの道。

早足で歩いていると、視界の端をハングルがかすめた。

無意識に、その意味を把握しようとする脳。

 

「大根?」

 

韓国語で大根を意味する「」という文字だった。

 

なぜこんなところにハングルが。そしてなぜ大根。

その疑問を整理する間もなく、僕の足はどんどん遠ざかっていく。

なにしろ駅へ向かう道すがら。急いでいるのだ。

 

そして翌日。

僕はまた同じ場所で「大根」の文字を見る。

視界の端で、風に翻るのは、黄色い旗。

旗の中央に「大根」の文字が染め抜かれていた。

 

大根。確かに大根だった。間違いない。

だが、それを確信した時点で、旗ははるか後方。

すでに通り過ぎた後で、僕は同じく駅への道を急いでいる。

 

3日目。

僕はまたも大根旗を目にした。

さすがに3度目ともなれば、身体が自然に反応する。

瞬間的に、ぐっと引き寄せられる意識。

 

「なぜお前は大根なのだ!」

 

僕の目が捕えたのは、街角に翻る1本の旗。

宝くじ売り場の前に置かれた旗であった。

 

「ろ……ロト?」

 

なんてことはない。

横書きに書かれた「ロト」の文字を、

僕は縦に見て「」と勘違いしたのであった。

 

「なるほどね……」

 

街角に翻る大根旗の謎。

僕は真相を解明し、満足して駅へ急ぐ。

 

20040522

 

 

 

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