コリ梅

041-混ぜるという行為。(執筆者:Horangi)

このコリ梅は2003年2月16日〜25日にかけて、コリアうめーや!!掲示板にて行われた画像クイズの優勝者によって書かれています。優勝賞品がこのコリ梅執筆権でした。

 

 

掲示板で行われたクイズで辛うじて優勝をしてから、早2ヶ月近くになる。1ヶ月が過ぎた頃からだろうか、KFCから矢のような催促が来始めたのは……。

 

「書いてください(翻訳:早く書けよなー)。」

「そろそろどうでしょうか?(翻訳:まったくなにやってんだよー。コリ梅を無碍にするとひどいんだぞぅ)」

 

優勝商品なのに催促されるとは、さすがコリアうめーや!!。うれしくって涙が出ます。

 

さて、与太話はともかく……。

 

自分の生まれ育った文化というものはなかなか消えるものではない。特に普段意識しない日常生活の中の所作のしぶとさ(?)たるや、目を見張るものがあるのではないかと思う。

 

現に私も2年ほど韓国に行っていたのだが、やはり日本の醤油の味というものには常に強い郷愁を感じていたし、韓国に行ってすぐの頃にはご飯茶碗を持ち上げようとして火傷しかかったり、鍋物をみんなでつついて食べることに若干の抵抗(これには別の理由があるけど、ここでは省略)があったりもした。しかし。「郷に入っては郷に従え」と古の人が言っていた通り、やはり郷に従ってとけ込んでいった方が、より十分にその土地の「何か」を感じ、時には体得できたりもするものだ。

 

見た目割と似た点が多い日本と韓国の食のなかでも、「混ぜる」ということに関しては結構大きな違いがあるように思う。本編「コリアうめーや!!」にもあるように(4号・47号)、韓国料理の中では「混ぜる」という行為が結構重要だったりする。同じ「混ぜご飯」でも、日本の場合混ぜた状態で出てくるのに対して、韓国の場合はふつう、僕らが混ぜて食べることになるわけだ。まだ本編ででてないけど、たとえば「チャジャンパブ」という韓国風中国料理があって、これはまあ、ご飯、ないしチャーハンの上にチャジャンのソースがどろっとかかっているメニューなんだけど、これを食べるときにも「混ぜる」行為は外せない。ビビンパにしろ、チャジャンパブにしろ、日本にない「韓国料理」であるが故に、私も「思い切り混ぜて食べるのがマナー」と完全適応して食べていたわけだ。

 

で、ある日の夕食のこと。その日下宿のメニューはカレーだった。韓国のカレーは、どういう訳だかあまりおいしくない。カレーに対する情熱が、日本と韓国ではえらく違うようなのだがこれは別の話だ。いずれKFCが書いてくれるだろう。で、とにかくカレーを食べ始めた。食べ始めて2〜3分たった頃だったろうか。私はある事実に気がつき愕然とした。

 

そう。私はこれでもかという位、ビビンパのように混ぜまくって食べていたのである、カレーを。少なくとも、韓国に行く前、私はそんな風にしてカレーを食べたことなんて一度もなかったのだ。本当だ、信じてほしい。弁解を認めてもらえるならば、そのときの器がビビンパを食べるようなどんぶり型であったということだけは知っておいてほしい。半ばあれは条件反射でもあったのだ、きっと。

 

ともあれ、その日以来、私は何を臆することもなく、あらゆるものを混ぜて食べることを我がものとしてしまったのだ。

 

で、そんな私が日本に戻ってきてからだ、本当に愕然としたのは。

 

ある日の遅い昼食のこと。近所の松○へ行って牛丼の並を注文した。手早く目の前に牛丼の並が置かれ、割り箸を口で割ると同時に紅生姜・七味をたくさん入れるのはいつものこと。3年前の僕なら、そこからすぐかっ込んでいたはずなのだ……。

 

しかし、その日の私は違った。かっ込む前に一仕事残っているのである。割り箸という、ものを混ぜるには実に使いづらい道具でもって私は必死に牛丼を混ぜていたのだ。隣のおじさんもするような、軽く混ぜるという生半可なものではなかった。

 

そのとき思った。「何だ、これ混ぜにくいなぁ。どんぶり一杯に盛ってあるし……。スプーンもらおうかなぁ」頭の中は完全にビビンパモードである。混ぜることに一つの喜びを感じていたりするのだ。

 

さらにすぐさま思った。「はっ! 俺、今牛丼めいっぱい混ぜてた。しかも『混ぜにくいなぁ』なんて思ってしまった……」これは、ある意味重傷である。もう治らないのではないかという気さえしてしまう。さらに言ってしまうと治らなくてもいいやなんて思っていたりする。

 

その後、さすがに、鉄火丼では混ぜようという気が起こらなかったが、○か卯の親子丼を食べるときはまたもや必死に混ぜている自分がいた。

 

そしてつくづく思った。日本の丼と割り箸は混ぜるのには向かないと……。文化ってよくできてるなぁと思う今日この頃である。ちなみに、日本に戻ってから2ヶ月近くになるが、まだ混ぜている。

 

2003年04月14日

 

 

 

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