コリ梅

033-ガマガエルを頼む客

 

 

「ガマガエルをください。」

と客のひとりが言った。

はて、ガマガエル……と、僕は悩む。

 

僕が働いているのは爬虫類専門店ではない。

れっきとした韓国料理屋なのである。

韓国料理屋のどこにガマガエルがあるというのだ。

憤慨しながら僕はアルバイトの先輩にそう告げた。

するとその先輩は、うんうんと無言のまま頷き、

焼酎のビンを1本持って客のところへ行った。

 

「これ見てごらん。」

戻ってきた先輩は、客に持っていった焼酎と同じものを僕に見せた。

それは眞露の古いほうの焼酎だった。

 

眞露の焼酎といえば今はチャミスルである。

だがそれと同時に、1世代前の眞露も置いてある。

若干アルコール度数が高く、焼酎らしいパンチの効いた味がする。

売れ行きはダントツでチャミスルだが、古い眞露も人気は根強い。

 

「なぜに眞露がガマガエル……。」

と疑問を抱えたまま、差し出された焼酎を眺めてみると、

ラベルにガマガエルの絵が描かれていた。

 

「あ……。」

「わかったでしょ。これがガマガエルよ。」

と先輩が言った。

 

チャミスルも1世代前のものも眞露は眞露。

それを区別する意味で、昔の眞露をガマガエルと呼ぶのだそうだ。

 

「なるほど……。」

僕はガマガエルの絵を眺めたまま、しばらく動けなかった。

 

韓国語でガマガエルをトゥッコビという。

今や焼酎といえばチャミスルというほどの人気だが、

たまにはトゥッコビのほうを頼んでみるのもよいかもしれない。

 

 

<おまけ>

「がまがえる」のマークは、韓国の株式会社眞露のコーポレートマークです。「がまがえる」は、澄んだ水の実り多い田んぼに生息することから、「きれいな水、よいお米からよいお酒を。」という願いが込められています。また、韓国で「がまがえる」は害虫を駆除して実りをもたらしてくれるばかりか、繁殖率が高く長生きする動物として、企業の大いなる発展を象徴しています。

(眞露ジャパン株式会社ホームページより)

http://www.jinro.co.jp/customer/faq01.html

 

2003年03月25日

 

 

 

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