コリ梅

020-食べられるようになる

 

 

江原道の海沿いに江陵という町がある。

その江陵の中央市場でソモリクッパプを食べた。

ソモリクッパプとはスープにごはんを入れた料理のひとつ。

 

牛の骨と頭の肉を長時間じっくりと煮込み、

旨味の溶け出した真っ白なスープにごはんを混ぜて食べる。

具には頭の肉の薄切り、素麺、たっぷりの刻みネギ。

最後に塩とタデギ(唐辛子ベースの調味料)で、味を調節して食べる。

市場ならではの、シンプルかつ豪快な料理。

スプーンをざくざくと突っ込んで、ずるずると食べる。

 

ただ実を言うと、僕はこの料理があまり好きではなかった。

頭部の肉は他の肉に比べて独特の匂いがあり、ゼラチン質の部分が多い。

そのグニグニした独特の歯触りを楽しむ料理なのだが、

逆にそれが気持ち悪いと言う人もいる。

僕もかつて2度挑戦したが、うまいとは思えなかった。

 

江陵で再挑戦する気になったのは、市場の名物だと聞いたからである。

有名ならば食べておくかという、どちらかというと後ろ向きな再挑戦だった。

 

ところが、これがうまかった。

嫌な匂いがなく、食べやすい。

煮込み方がよいのか、牛肉の香りが生きている。

ゼラチン質の部分にクセがなく、歯触りが嫌でない。

普通においしいと思うことができた。

 

苦手な料理には、たまにこういうことがある。

今まで敬遠していた料理でも、本当に旨いものに出会うと旨い。

自分の中で苦手意識がさあっと消え去っていく。

食べられるようになったと感じる瞬間である。

 

不思議なもので、1度乗り越えると次からは普通に食べられるようになる。

身体が旨さを覚えるため、多少味が落ちても自分で旨さをつかめるのだ。

苦手な料理を、好きな料理に変えていく喜び。

好き嫌いのない人には、わからないだろうなあ……。

 

2003年02月22日

 

 

 

戻る