コリ梅

014-目の飛び出るスイカ

 

 

全羅南道の光州にいたときの話。

タクシーの運転手がミラー越しに問いかけてきた。

 

「お客さん、旅行ですか?」

「あ、はい。」

「そうですか。どちらを見て回ったんですか?」

「市内の中心部だけです。」

「無等山には行かなかったんですか。」

「あー、山の方には行かなかったですねえ。」

「駄目ですよ。光州で1番いいところが無等山なんですから。」

「そうなんですか。」

「そうですよ。雪が積もって今が1番綺麗ですよ。」

「ほー。あ、そうだ。無等山といえばスイカが有名じゃないですか?」

「おお、無等山スイカ。光州の特産品ですよ。」

「今は季節じゃないからスイカはないですよねえ。食べたかったなあ。」

「無等山スイカを食べる? 冗談じゃないですよ、お客さん。」

「え……?」

「ありゃあ、一般人が食べるもんじゃないですよ。」

「そうなんですか?」

「1個、15万ウォン(約1万5千円)はしますよ。」

「15万ウォン?」

「そうですよ。昔は王様に献上していたスイカですからね。」

「…………。」

「今は大統領が国賓を迎えるとか、そういうときに使うもんですよ。」

「そ、そうだったんですか……。」

「一般人の口には入りませんや。」

 

帰国してから、少しそのスイカについて調べてみた。

無等山スイカというのは並外れて大きくなり、

最大で重さ30キロまで成長するそうだ。

普通のスイカに比べて糖度が高く味もよいらしい。

 

20キロを越えると、本当に15万ウォンの値がつく。

かつて王様に献上された23キロ超のものだと、

さらに値段が跳ねあがって25万ウォンはくだらないそうだ。

邦貨にして約2万5千円。目の飛び出る値段だ。

 

王様が食べた光州の無等山スイカ。

食べるチャンスはまずないような気がする。

 

2003年02月11日

 

 

 

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