コリ梅

012-1人で食べる

 

 

1人でタッカルビを食べに行った。

タッカルビとは鶏肉と野菜を甘辛く炒めた料理。

テーブルに設置された円形の鉄板で調理しつつ食べる。

 

ドアを開けてすぐ支配人らしき男が声をかけてきた。

 

「みょっぷにせよ?」

(何名様ですか?)

 

僕は1人なので人差し指を1本たてる。

 

「ほんじゃせよ?」

(お1人ですか?)

 

男は意外そうな顔で見つめる。

僕は言葉なしにうなずく。

 

入口近くのテーブルに案内された。

 

「ほんじゃせよ?」

 

注文を取りに来たおばちゃんが不思議そうな顔で再度尋ねる。

僕はまた無言で頷き、骨なしタッカルビ1人前を頼む。

 

アルバイトの女の子がサンチュなどを持ってくる。

 

「ほんじゃ おしょっそよ?」

(1人でいらしたんですか?)

 

怪訝そうな顔でこちらの顔を覗き込む。

このあたりで側頭部の血管がぷちんと切れた。

 

「1人でタッカルビ食って何が悪いんじゃあ!!」

 

テーブルをひっくり返し、運ばれて来たサンチュを放り投げる。

椅子を蹴り飛ばし、女の子の髪の毛をわしづかみにする。

店内は騒然となり、ドア付近にいた支配人が駆けつけてくる。

 

などというような事件は到底起こるはずもなく、

僕はただただじっと黙って座っている。

むしろ居たたまれない気分で耐えている。

 

韓国では1人で食事をするという習慣が少ない。

店によっては1人だと奇異の目で見られることもある。

特に焼肉関係の料理は怪しげですらある。

 

どんなに旅慣れていても韓国で困ること。

それは1人で食事をすることである。

 

2003年02月07日

 

 

 

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