コリ梅

005-あれ買って来て

 

 

友人の誕生日パーティに参加したときの話。

その日は他の約束があり、2時間ほど遅れて行った。

最寄駅に到着し、電話で家までの道順を聞く。

さほど複雑な道ではなかったので、探しながら歩くことにした。

 

3分の2ほど行ったところで、電話が来た。

 

「ごめーん。コンビニ寄ってくれない?」

「えー、さっきコンビニ通り過ぎちゃったよ。」

「あ、通り過ぎちゃった。申し訳ないけど戻ってくれる?」

 

ちっ。遅れてくると、これがあるんだよな。

 

「何を買っていけばいいの?」

「いやー、実はね……。」

 

缶ビールかソフトドリンク、あるいはつまみが足らなくなったか。

 

「蛍光灯を買って来て欲しいんだわ。」

「はあっ?」

「蛍光灯が切れちゃってさあ。みんな真っ暗な中で食事してんだよね。」

「……。」

「輪っかになった蛍光灯あるじゃない。あれを2本買って来て。」

「……。」

 

今までいろんなパーティに遅刻したが、

蛍光灯を買って来いといわれたのは初めてだった。

 

僕はコンビニまで戻り、40型と32型の蛍光灯を1本ずつ買った。

家に到着してみると、確かにみんなは真っ暗な中で食事をしていた。

窮余の策として、テーブルいっぱいに並べられた蝋燭が痛々しくも見えた。

僕が買って来た蛍光灯は、みんなから拍手をもって迎えられた。

 

「いやー、これが一番の誕生日プレゼントだよ。」

 

その日の主役は満面の笑顔でそう言った。

なにか納得のいかない僕だった。

 

 

2002年12月23日

 

 

 

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