サメガレイなる日々
021-がんばる29歳−山手線1周すごろく編(4)
|
|
|
山手線1周すごろく編(1)、(2)、(3)の続き。 見ていない方はまず(1)(2)(3)からどうぞ。 |
|
19:46 五反田着 |
|
五反田に到着して通常ダイスを振る。 出た目は(5)。つまり代々木に逆戻りだ。 なんのイベントもなく、ただただ電車に乗って戻るだけ。 時間の浪費以外の何者でもない。 「もう止めちゃおうかな……」 頭の中で天使と悪魔が戦い始める。 現状ではまだなんとか天使が優勢だが、 サイコロの出目いかんでは悪魔の逆転勝利もありそうだ。 反対側のホームに移動して代々木を目指す。 通常ダイス(5) → 代々木 |
|
|
|
ゴールを遠く離れて五反田。精神的ショックが大きい。 |
|
20:03 代々木着 |
|
代々木に着いてイベントダイスを振る。 「東京駅と立ち食いそばだけは避けたい!」 そう願いながら振ると出た目は【10】。特殊イベントである。 ここでのイベントは、代々木を代表する予備校と専門学校の写真撮影。 代々木ゼミナールと代々木アニメーション学院の2校だ。 どちらも駅から近い位置にあるのでさっと行って撮った。 小雨が降っているせいか、人通りが少なく妙に寂しい雰囲気である。 喜ぶでもなく、悲しむでもなく黙々と任務を遂行する。 「もうそろそろ終わりにしたい」 そんな気持ちが濃厚となり、通常ダイスを振る手に力がこもる。 代々木から新大久保までは新宿をはさんで2駅。 「(2)よ出ろ!」 との願いも無残に、出た目は1駅分多い(3)。 今日2度目の代々木から、同じく2度目の高田馬場へと向かう。 イベントダイス【10】特殊イベントの遂行 通常ダイス(3) → 高田馬場 |
|
|
|
2度目の代々木。学校の看板だけが妙に明るい町だった。 |
|
20:31 高田馬場着 |
|
原宿でのゴール初挑戦から2時間半。 身体がぐったりと重く、足は棒のようである。 肉体的にも精神的にも疲弊しきっている。 高田馬場に着いて振ったイベントダイスは【10】。 この駅でのイベントはもうすませたのでノーカウント扱い。 気付けばゴール近辺のほとんどの駅でイベントを遂行している。 ピンポイントでゴールにたどり着くことが出来なくとも、 ノーカウントでウロウロしていれば、いつかはさすがに着くだろう。 そう心に言い聞かせて、最後の気力を振り絞る。 ところが運命とはかくも皮肉なものだろうか。 通常ダイスを振って出た目は(5)。 目的地はまだ1度も降りたことのない渋谷である。 「すごろくの神様に遊ばれている気がする」 移動しながら書きとめたメモにそんな一文が残っている。 イベントダイス【10】ノーカウント 通常ダイス(5) → 渋谷 |
|
|
|
もうやめにしたい2度目駅シリーズ。サイコロは無情で非情だ。 |
|
20:47 渋谷着 |
|
渋谷で振ったイベントダイスの目は【13】。 もはや特殊イベントを行う気にもならないので、 【13】のサイコロ連投はむしろありがたい気分だった。 通常ダイスの目も(2)と少なく、目的地は目黒。 目黒から新大久保までは6駅なので、 まだ通常ダイスの1投でゴールの可能性が残されている。 イベントダイス【13】サイコロ連投(2) → 目黒 |
|
|
|
初めての渋谷。淡々とサイコロを振り、淡々と次の駅へと向かう。 |
|
20:57 目黒着 |
|
目黒について写真を撮り、通常ダイスを振る。 もう写真の顔が疲れ果てている。笑おうとしても笑えない。 もう止めたい。早くゴールしたい。帰って寝たい。 そんな心の叫びが表情によく現れている。 「6が出ればゴール!」 そう念じつつダイスを振るも、出た目は(1)。 正反対の目が出てしまい、沈んだ気分のまま恵比寿へ向かう。 通常ダイス(1) → 恵比寿 |
|
|
|
目黒。もう眠たい。帰りたい。サイコロから解放されたい。 |
|
21:02 恵比寿着 |
|
恵比寿到着は2度目。1度目はまだ希望に満ちていた。 大崎で立ち食いそばを食べて、次に止まったのが恵比寿だった。 「あのときは『3駅戻る』が出て憤慨していたっけなぁ」 ほんの数時間前のことが、遠い昔の記憶に思える。 ゴールを挟んで何往復も重ねた今では、3つ戻るくらいなんでもない。 過去の自分を冷ややかに笑いつつ、イベントダイスを振った。 出た目は【9】で特殊イベントの遂行。 渋谷では避けたかった特殊イベントだが恵比寿なら話が違う。 この駅ではエビスビールを購入して飲むのがイベント。 停滞した気分を振り払うべく、空元気を総動員して改札口を出た。 駅前のコンビニでエビスビールの350ミリ缶を購入する。 500ミリ缶と一瞬迷ったが、それには少々胃が膨らみすぎだ。 クレープとカレーパンが勢いよく逆流してきそうな気もする。 駅のホームに戻って冷えたビールをぐいっと飲むと、 不思議なことに肩の力がすうっと抜けていった。 「んぐんぐんぐんぐ、ぷはぁっ!」 大きく息を吐くと、澱んだ空気が肺から出て行った気がした。 ゴールはまだまだ遠そうだが、それはそれでいいかという気分になる。 エビスビールの1本で、予想以上にリラックスできたようだ。 「よし、終電までかかっても必ずゴールしよう!」 気持ちを新たにし、通常ダイスを力強く振った。 出た目は【5】である。 「ようし、【5】だな。5駅進むと……あ、あれっ?」 渋谷、原宿、代々木、新宿、新大久保。 渋谷、原宿、代々木、新宿、新大久保。 渋谷、原宿、代々木、しんじゅ…く、しん…おおくぼ? 何が起こったのか把握できず、何度も指を折る。 何度数えても5駅先は、間違いなくゴールの新大久保だった。 「や、や、や、やったぁぁぁぁぁぁ!」 恵比寿駅のホームで歓喜の咆哮。 長かった戦いが、まさに今この瞬間に終わったのだ。 終わった。終わった。本当に終わった。 僕は山手線に乗り、輝かしいゴールへと向かった。 イベントダイス【9】特殊イベントの遂行 |
|
|
|
恵比寿の奇跡。エビスビールパワーだ。恵比寿様バンザイ。 |
|
21:38 新大久保 ゴール! |
|
新大久保駅に到着して時計を見ると21時38分だった。 スタートが12時22分なので、ゴールまでは9時間16分。 満面の笑顔と渾身のガッツポーズで記念写真を撮る。 これにて山手線1周すごろく無事終了である。 |
|
|
|
歓喜のガッツポーズ。この瞬間を夢見ていた。 |
|
というわけで壮絶な山手線1周すごろくの記録は以上。 ここからは来年正月の実現を目指し、現実的な反省をしておこうと思う。 こうして実験をしてみると、イメージと違う点がずいぶんあった。 まず、すごろくの根本的な部分について。 ゲーム性を高めるために指定駅を設けたが、 移動が重視される形になり、イベント性が落ちることがわかった。 今回のように特殊イベントが出ないと延々電車に乗り続けることになる。 このすごろくの楽しさは、ゴールを目指すのももちろんだが、 それぞれの駅で地域性を楽しむところにあるような気がする。 駅についたら無条件にイベントを遂行するくらいでもよいかもしれない。 その場合は指定駅を減らすか、あるいは削ってもよいだろう。 特殊イベントについては、各駅にもう少し工夫が欲しい。 この駅に止まりたい、と思えるイベントをどれだけ組み入れられるか。 そのあたりがすごろくの楽しさと密接に関わってくるはずだ。 またイベントは大勢でやることを前提にしたい。 食べるネタの連続は苦しかったが、大勢なら分散もできる。 写真撮影ネタもみんなでやればもっと楽しいだろう。 ひとりでのすごろくはあまりに寂しく厳しい。 そもそもこの実験も、ひとりでなく複数名でやるべきだった。 そして最大の反省点はゴール直前の行ったり来たりである。 このゴール直前のルールだけは絶対に改善すべきだ。 通り過ぎてもゴールにするか、往復回数の上限を定めるか。 またタイムアップの時間も前もって決めておくとよさそうだ。 無制限で終わりのない戦いはあまりにもつらすぎる。 他にも細かい反省点はたくさんあるので、 本番までにもう1度じっくりと練り直していこうと思う。 来年の正月は必ず実現させよう。 参加希望者は早めに名乗りをあげて欲しい。 一緒に山手線でアツクなろうではないか。 |
|
|