サメガレイなる日々
017-韓定食を作ってみよう
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誕生日の友人に歳の数だけ料理を贈ろう。 そんな企画が持ち上がったのは8月後半だった。 仲のいい友人なので、何かスペシャルなことをしたい。 何がいいだろうか、と頭をひねって出た結果だ。 ただ話の発端はもっと微妙なアイデアだった。 「ビビンバにろうそく立てて祝うのはどうかな」 「うーん、いまいち半端な気がする」 「んじゃ、ビビンバをみんなで作るってのは?」 「その企画いつぞやもあったんじゃない?」 「うん、Iさんの誕生日に土鍋ビビンバ作ったね」 「年齢の数だけビビンバに具を乗せるってのはどう?」 「なんでビビンバにこだわるの?」 「いや、なんとなく……」 といったあたりから話は二転三転し、 最終的に冒頭の結論へと着地した。 年齢の数だけ料理を作る。 それはすなわち「韓定食」を作るということだ。 宮廷料理をベースにアレンジされた韓国料理のフルコース。 その料理数は「お膳の足が折れるほど」と表現される。 料理を目一杯作って目一杯祝おう。それが今回の趣旨だ。 ただし本格的な韓定食を作るとなるとかなり大変。 韓国料理の中でも特に手の込んだ料理ばかりなので、 作ろうとすると材料集めから相当な困難が予想される。 なので、こだわるのはまず料理数ということに決め、 作る料理はそれぞれの得意料理ということに落ち着いた。 日本料理があったり、中華料理があったりしてもOK。 妙なオリジナル料理でもよいことにした。 調理側として参加したのは全部で5人。 当日みんなで調理するのは皿数的にも大変なので、 各自が自宅で作ったものを持ち寄った。 料理数は主役に配慮して伏せるが、 作られた料理は以下の通りである。 いきなりずらりと並べてみよう。 ・マーボーナス ・ナスバーグ(ナスのハンバーグ) ・ナスの天ぷら ・ナスとトマトのオリーブ焼き ・ナスみそ ・シイタケの肉詰め ・ピーマンの肉詰め ・豆腐とシイタケのオイスターソース煮込み ・白玉だんご ・ズッキーニとタマネギのピクルス ・キムチ餃子 ・ナスとトウガラシの煮付け ・ズッキーニのジョン ・オムクポックム風さつま揚げ炒め ・スパム炒め風ハム炒め ・サバのコチュジャン焼き ・キムムッチム(海苔の和え物) ・ミョルチコチュボックム(ジャコと青唐辛子の炒め物) ・プゴチョリム(干ダラの煮物) ・トトリムクムッチム(ドングリのムク) ・コンチチョリム(サンマと大根の煮物) ・シイタケのジョン ・トウガラシのジョン ・エゴマの葉のジョン ・キムチジョン ・コンナムルパプ(モヤシごはん) ・卵焼き ・モヤシのナムル ・大根のセンチェ(酢漬けにした千切り大根) ・ホウレンソウのナムル ・クジョルパン(8種の具を薄焼きで包む料理) ・チャプチェ(春雨炒め) ・ポッサム(茹で豚の葉野菜包み) ・プルコギ ・ポテトサラダ ・タイの塩焼き ・エゴマの葉の薬味漬け ・オイソバギ(キュウリのキムチ) って、よく考えたらこれ数えれば年齢がわかるじゃん。 ということで公開。以上38品を製作した。 「ハピーバースデー38歳!」 ナス料理がやけに多いのは本人の好物であるため。 ある参加者などはナスをテーマに5品も作る徹底振りで、 誕生日の主役が大喜びしたのは言うまでもない。 料理は自由としたが意外に韓国料理が多くて驚いた。 しかも肉料理、魚料理、野菜料理など種類も多岐に渡り、 デザートまでもが入っているというバラエティの豊かさ。 事前に担当料理の打ち合わせはほとんどしなかったが、 出来上がってみるとかなりの御馳走になっていた。 38品の料理を作っただけでもすごいことだが、 並べてみるとそのすごさがさらに迫力を増していた。 まさに「テーブルの足が折れる」にふさわしい量で、 6人座れるテーブルの面積が足りないほどであった。 |
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テーブルにずらりと並んだ料理の数々。並びきらなかった料理もあるのでこの写真で数えても38皿はない。 |
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ちなみに僕は言いだしっぺのひとりとして韓定食らしさの部分を担当。 ぱっと見で韓定食だと感じさせるには、 象徴的な料理がいくつか入っていなければならない。 まず思いつくのはクジョルパンと神仙炉だろう。 クジョルパンは8角形の器に8種の具と薄焼きを入れた料理。 神仙炉は中央で炭火を起こせる独特の形状をした鍋料理だ。 神仙炉は鍋そのものがないと作れないので却下。 クジョルパンも8角形の器がないと本格的には見えないが、 8種の具と小麦粉を溶いた薄焼きがあれば大皿に盛ってもなんとかなる。 韓定食の象徴とも言うべき料理なのでこれは頑張って作ることにした。 あとは宮廷料理にルーツを持つプルコギとチャプチェ。 どれもめったやたらに手のかかる料理だが、 韓定食を名乗るのであれば最低限必要な料理だろう。 と思って作り始めたのだが、これが予想以上に大変だった。 今後のためにも反省点をいくつか記しておく。 |
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できれば器にこだわりたかったクジョルパン。比較的うまくいったチャプチェ。 |
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・クジョルパンの反省 8種類の具には錦糸卵(黄白で一種ずつ)、牛肉の炒め物、 シイタケの炒め物、千切りキュウリ、千切りニンジンの炒め物、 大豆モヤシのナムル、白髪ネギの和え物を用意。 具を作るのはともかく、包む用のミルチョンピョン(薄焼き)が難しかった。 最初、小麦粉1カップに対し、水1と1/4カップの「1」を見逃し、 あまりに水が少なすぎてウドンの生地になってしまったのはご愛嬌。 きちんとした量で再度チャレンジしたにもかかわらず、 油でベタベタになる、焦げ付く、丸くならないなど失敗のオンパレード。 結局ほとんど成功せず、諦めて薄い卵焼きで代用した。 クジョルパンの最難関はミルチョンピョンにあり。 きちんと作れるようになるまで修行を重ねる必要がある。 ・プルコギの反省 プルコギそのものは何度か作っているので問題なし。 今回はアレンジとして肉の食感にこだわって作ろうと思った。 通常は薄切り肉を使用するところを、肉を噛み切るボリュームも加えようと 塊肉をぶ厚めに包丁で切って使用することにした。 ところが肉質をよく考えず、脂の少ないモモ肉を使ったのが失敗のもと。 噛み切れないほど肉の固いプルコギになってしまった。 ぶ厚くても噛み切れるようにするには、相当いい肉を使わねばならない。 いずれまた試してみたいが、資金的にも難ありか。 ・チャプチェの反省 手のかかる料理なので、今回は簡略化に工夫を凝らした。 これまでは乾麺をそのまま鍋に入れて茹でていたが、 今回はいったん水につけて戻した後、改めて鍋で茹でることに。 これが大当たりで、麺が均一に茹であがるほか、 茹であがりまでの時間もおおいに短縮された。 当たり前のことではあるが、こういう発見があるから料理は面白い。 手のかかる料理だと敬遠せずに何度も作ることが肝要。 そのうち手際よく作れるようになる気がする。 |
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ヒレ肉のポッサムはパサパサになった。誕生日なので「めで鯛」もきちんと用意。 |
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ちなみにこの3つ以外にも大物ではポッサムを作った。 作ったといっても大鍋で豚肉をコトコト茹でただけの話だが、 これも今回はちょっとアレンジを加えてみることにした。 これまでは豚バラ肉の塊を煮込んで作っていたが、 バラ肉だと脂肪が多すぎるので、煮上がりが崩れてしまいがちだ。 なので今回は脂肪の少ないヒレ肉、肩ロース肉を使用。 どんな結果が出るのか試してみた。 結論から言うとヒレ肉は脂肪が少なすぎてパサパサになる。 肩ロース肉のほうは適度に脂が差し込んでいて悪くないようだ。 今後はバラ肉と肩ロースを中心にいい肉を捜すとしよう。 以上で自分の反省は終わり。 最後に全体として好評だったメニューを紹介しよう。 本当ならばベスト3くらいをあげるところなのだが、 みんなで感想を出し合ったら、あるメニューがぶっちぎりのトップだった。 38品の韓定食で最もおいしかった料理はこれ。 白玉だんご! 白玉粉を練って作った普通のだんごだが、 みたらしのタレがとろりとかかってこれが実にうまい。 だんごの柔らかさも心地よく、うっとりするような出来栄えだった。 おまけにこの日は中秋の名月の1日前。 満月ではないものの綺麗な月が空に浮かんでおり、 1日早いお月見という意味でもポイントの高い料理だった。 「1位はやっぱり白玉だんごかな」 「うん、これがぶっちぎりのトップだね」 「2位、3位を考えるのは難しいね」 「1位がだんごだけに、2位以下はだんご状態ってことだね」 「わはははははは」 情けないことに、これが今回のオチ。 1位はだんご、2位以下もだんご。 何が韓定食なのかさっぱりわからない結果となった。 でもみんなは大満足なのだ。 |
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<作られた料理の数々> |
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あまりの皿数に全部の写真は撮れなかった。途中で酔っ払ってしまい、1位の白玉だんごと自作のプルコギを撮り逃したのは痛恨事。 |
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