サメガレイなる日々

008-九州旅行3日目に食べたうまいもの

 

 

1日目2日目に食べたものがうますぎて、

半分ノックアウト状態になりつつ3日目を迎えた。

こんなにうまいものばかり食べていてよいのだろうか。

あまりにも幸せすぎて逆に不安になってくる。

 

しかも3日目も同じような幸せが予想されていた。

博多を離れて友人のいる大分県中津市へ。

 

「うまいものをたっぷり用意して待ってるよ!」

 

という事前のメールが実に頼もしい。

地元の友人も交えて、大歓待の準備ができているらしい。

 

今夜あたりは幸せすぎて失神するかもしれないな。

 

そんな不安を抱えつつ、僕はにやけ顔で博多駅を出発した。

中津までは特急ソニックで1時間13分の距離である。

 

 

中津市の福沢諭吉旧宅(左)とからあげで有名な村上食堂(右)

 

中津市の名物料理として、

ニッポン!ではからあげの話を書いた。

 

中津市はからあげの聖地。それはそれで間違いないが、

地元で食べている料理はそれだけにとどまらない。

中津市は干潟の多い周防灘に面しているため海産物の恵みが豊富。

とれた新鮮な魚は、食卓まで毎日運ばれてくる。

 

このへんはウンチクをごちゃごちゃと書くよりも、

歓迎の宴で出された、魚介類の数々を紹介したほうが早いだろう。

 

会場となった居酒屋の座敷には、2つの大皿がどーんと用意されていた。

 

直径50センチはあろうかという巨大な皿。

その皿を覆い尽くすようにして魚介類が山盛りにされている。

 

1枚目の皿にはたっぷりの刺身。

2枚目の皿には茹でたエビ・カニ類。

 

その豪快さ、ボリュームもものすごいが、

ひとつひとつの顔ぶれを見ると豪華さはさらに際立つ。

 

1枚目、フグ、アワビ、関サバ、青柳、ハモ、焼きハモ、カンパチ。

2枚目、シャコ、ワタリガニ、ウチワエビ、煮イカ、煮付けた魚の真子。

 

正直、これだけの魚が目の前に出てくると、

喜ぶ以前に、圧倒されて声が出なくなる。

 

どこから手をつけてよいのか、動きが止まってしまう豪華さだ。

 

「こ、これは本当にすごいねぇ!」

「んー、目の前の海でとれたものばかりだけどね」

 

興奮する僕とは対照的に、友人が冷静に言う。

僕にしてみれば宝の山も同然だが、友人にとっては日常の食卓。

取り立てて大騒ぎするほどではないのだろう。

 

「ま、どんどん食べてよ」

 

こともなげに語る友人の姿は確かにカッコよかった。

それがうらやましいと思いつつ、自分の欲求も抑えられない。

 

「ぐぐぐ、食べさせていただきますっ!」

 

勢いよく箸を取って、いざ刺身に突撃。

と、思ったのだが、意に反して皿の直前で急停止。

 

突撃しようという気持ちはあるのだが、

どれもうまそうなため、マナー的にはよくない迷い箸をしてしまう。

フグか。いやハモ。アワビ、青柳もうまそうだが……。

 

ぐうううううう、こ、これだぁっ!

 

悩みに悩んで大分県の名物、関サバを選んでみた。

言わずと知れたブランドサバ。本場の味をぜひ確かめねばならない。

ワサビをちょっと乗せて、醤油の小皿に着地。

若干の緊張とともに、最初の一切れを口へと運ぶ。

 

「ぬぬぬ、う、うまいぃぃぃ……」

 

全身恍惚。予想以上のうまさに力が抜けていく。

さすが関サバ。刺身そのものにピンと張りがありつつ、

噛み締めるとトロトロの脂が染み出てくる。

 

プリプリでトロトロ。

 

大分県の人は、いつもこんなサバを食べているのだろうか。

半ば本気で嫉妬しつつ、2切れ目の刺身へと手を伸ばす。

 

ちょっと歯ごたえのあるフグ(カタフグ)。

それぞれ食感の違う生ハモと、軽く炙ってあるハモ。

コリコリのアワビ、甘みの強い青柳。

 

どの刺身を食べても、ため息が出るほどうまい。

 

1枚目の大皿!

 

「こっちの皿にも手を伸ばしてよ」

 

友人がエビ、カニ関係が乗った皿をすすめてくれた。

まずは地元でも珍しいというウチワエビに手を伸ばしてみる。

頭のほうが大きく広がった、珍しい形のエビだ。

 

「これはかぶりつけばいいのかな?」

 

手にとってはみたが、なにぶん初めて食べるエビ。

どこからどう食べていいのかわからない。

 

僕がまず想像したのは、ケジャンのような食べ方だった。

 

「ああ、いやいや。ここからこうやってむくんだよ」

「あー、そっか。初めてだとやっぱり食べ方わからないよね」

「俺らは子どもの頃から食べているからなあ」

 

友人を含め、地元の人たちがウンウンと頷く。

見れば、彼らは器用に殻をむいて、中の身をきれいに食べている。

僕も真似をして殻をむこうとしたが、なかなか思うようにいかなかった。

 

エビやシャコを茹でただけのものではあるが、

それが地元の料理であることがよくわかる。

 

2枚目の大皿!

 

「あとはこれをぜひ食べて欲しいんだよね」

 

宴会終盤になって、小さめの丼に入った汁物が出てきた。

細ネギがたっぷりとかかっており、中の具がよく見えない。

箸でかき分けてみると、コンニャクと牛スジが顔をのぞかせた。

 

「ここのスジ煮込みはうまいんだよ。これをぜひ食べてほしくてね」

「へえー、いい香りだね」

 

スープをすすると牛スジからいいダシが出ていた。

なるほど。宴会終盤にこのスープは胃が温まっていい。

牛スジも柔らかく煮込まれており、脂がトロトロととろける感じ。

そしてまた驚くほどコンニャクがうまい。

 

ざらっとした食感の田舎コンニャク。

不均一な感じだが、そのぶん味の染み込みがいい。

牛スジもうまかったが、コンニャクのうまさも感動的だった。

 

刺身のうまさに悶え、エビ、カニたちとたわむれ、

最後にあったかい汁物で胃を満たす。

 

地元のうまいものを、目一杯堪能させてもらった一夜だった。

 

ちなみにこの後は友人行きつけのバーでカクテルを飲み、

最後はやっぱりラーメンだろうと、とんこつラーメンで締めくくった。

 

 

 

(上)牛スジ煮。スジはトロトロ、コンニャクはブリブリ。

(下)2軒目は友人行きつけのバー。シメはやっぱりラーメン。

 

さて、ここからは余談。

 

中津滞在中にちょっと珍しい料理を見つけたのだが、

それが地元だけの名物なのか確定できないので情報を求めたい。

 

地元では有名な80歳のおばあちゃんが作るたこ焼き。

 

これが普通のたこ焼きと違い、なんと串に刺さって売られている。

3個のたこ焼きを1本の串に刺し、見た目はまるでダンゴ3兄弟。

 

「これは中津たこ焼き3兄弟の名で売れるよ!」

 

などとその場では盛り上がったのだが、

帰ってきてネットで検索すると他地域でも数は少ないがあるようだ。

 

その店のおばあちゃんは、

 

「昔はみんな串に刺していたけどねえ」

 

と語る。この店の歴史は40年。

その頃は、串に刺して売るたこ焼きの店がたくさんあったそうだ。

 

ここのたこ焼きはモチモチとした白玉のような食感。

また青のりのかわりにたっぷりの魚粉を振りかけているので、

小魚ふりかけのような独特の香ばしさがある。

 

店にはひっきりなしに予約の電話がかかっており、

中には50本のまとめ買いをする人もいた。

 

お好み焼きや焼きそばのメニューもあり、

お昼ごはんや、おやつなどには最適なのだろう。

これもまた地元ならではの味覚だ。

 

串に刺さったたこ焼きは中津の名物になるのか?

串たこ焼きの目撃情報があったらぜひ寄せて欲しい。

 

 

中津たこ焼き3兄弟。

 

 

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