サメガレイなる日々

003-冬のソナタ弁当を食べる

 

 

冬のソナタ弁当が発売される。

 

その情報が飛び込んできたのは、

1月28日午後のことだった。

 

情報ソースとなったのは、ネット上の新聞記事。

JR東日本のグループ会社である、日本レストランエンタプライズが、

2月1日から3月末までの、限定販売を始めるとのことだった。

 

それは面白そうだと調べてみると、

なんとただの弁当ではなく、駅構内で販売される駅弁だという。

 

これには正直驚いた。

 

駅弁と言えば、長距離列車の中で食べるもの。

流れ行く車窓を眺めながら、おもむろに包みを開く、

というのが駅弁の正しい姿である。

 

その弁当はといえば、地方の名産だったり、

地元にちなんだものだったりするのが普通だ。

 

然るに、その駅弁が冬のソナタ弁当というのはどういうことか。

冬のソナタと駅弁に、いったい何の関係があるというのだ。

 

これまでも、冬のソナタに便乗した商品はたくさんあったが、

駅弁までというのは、明らかにやりすぎだと思った。

 

百歩譲って、空弁ならまだわかる。

 

ソウルに向かう客を対象とした、

気分を盛り上げるための、冬のソナタ弁当。

これなら、充分意図が伝わってくる。

 

だが、東京駅で冬のソナタ弁当を買って、どこに行けというのか。

上野駅から新幹線で北に向かいつつ、ヨン様を思い出せというのか。

 

 

「一体、どういうことなんじゃあ!!」

 

 

ということで、東京駅まで行ってきた。

 

ちなみにこの弁当が売られているのは、東京駅の他に4ヶ所。

新宿駅、上野駅、品川駅、大宮駅だけである。

 

便乗商品とはいえ、ある意味たいへん貴重な弁当だ。

 

 

僕が東京駅に着いたのは、昼時を迎える少し前。

平日の午前中だったが、東京駅はやっぱり混雑していた。

 

駅構内の売店にたどり着くと、目立つところに貼り紙がしてあった。

 

 

「冬のソナタ弁当 1000円」

 

 

なるほど。やっぱり冗談ではなかったか。

 

「すいません、冬のソナタ弁当をひとつください」

 

店頭のお姉さんに注文をすると、ケースの中から、

雪景色を思わせる、淡い水色のボックスが出てきた。

けっこう大きい。30センチ四方はあるだろうか。

 

購入ついでに、質問などをしてみる。

 

「この冬のソナタ弁当って、今日からですよね」

「あ、はい」

「売れ行きはどうですか?」

「あ、そうですね。かなりいいですよ」

「え、そうなんですか?」

「はい。うちだけでももう30本以上は出てますね」

 

まだ、昼前だというのに30本?

 

確か新聞記事には「1日当たり200食の売り上げを見込む」とあった。

 

売店といっても、東京駅だけで20店舗近くあるはず。

それに加えて、上野、新宿、品川、大宮……。

 

200食どころか、2000食くらいのペースじゃないのか?

 

「うーむ、冬のソナタ弁当。侮りがたし……」

 

 

東京駅では落ち着いて食べられないので、

きちんと座って食べられる場所へと移動する。

 

ちなみに外側はこんな感じ。

 

 

で、フタをとると、中はこんな感じ。

 

 

全体が9つのブロックに分かれており、

それぞれに1種類ずつ韓国料理が収まっている。

見た目も、彩りもなかなかにきれいだ。

 

「ふーん、これが冬のソナタ弁当ねぇ……」

 

と、最初は冷めた目で見ていたのだが、

おかずを確認していくうちに、その考えが変わってきた。

 

「あ、あれ? こ、この弁当、もしかしてすごいかも……」

 

予想外に本格的で、予想以上にこだわっている。

当初のひねくれた気分は、いつしかきれいに霧散し、

 

「うわっ、こんなところに、こんな隠れキャラが!」

「こ、これはもしかしたら、アレをイメージしているのか!?」

「うーむ、なんだかえらく細部にこだわった弁当だな……」

 

と、冬のソナタ弁当の世界に引きずりこまれていた。

 

食べ始めてからも、

 

「むむっ、これはなかなかうまい!」

「うーん、これはちょっとイマイチだな……」

 

などと、夢中になって味わっている。

いつの間にやら、どっぷりハマってしまった。

 

 

せっかくなので、簡単に料理の紹介をしておこう。

 

冬のソナタ弁当には、詳細なお品書きが添付してある。

それを参考にしつつ、料理の概要と、印象を書きとめてみたい。

 

  

 

まずは、左上のキムチ入り蒸餃子。

 

具にはピリ辛鶏肉とキャベツ、そして軟骨が入っている。

キムチの香りと、軟骨のコリコリした食感が楽しめる。

冷めていくぶん硬くなっているが、味そのものは悪くない。

 

 

真ん中上は、海鮮チャプチェ(海鮮春雨炒め)。

 

海鮮とついているように、小柱と小エビが入っている。

その他の具には、ピーマン、ニンジン、シイタケ。

ちょっとのチャプチェでも具だくさんなのは偉い。

 

 

右上は、八穀米ご飯。

 

韓国でよく食べる、雑穀を混ぜたごはん。

アワ、キビ、麦、豆などが入っており、これが意外にいい味だった。

白いごはんという意味でも、他のおかずと相性がいい。

 

  

 

左真ん中は、トッポキ(韓国もちの辛味炒め)。

 

辛さが抑えてあるせいか、みたらし団子のような味。

餅もべたっと柔らかく、さほど美味しいとも思えなかったが、

やはりこの弁当にトッポッキは欠かせないだろう。

 

ドラマの中でトッポッキはチュンサンの好物として登場。

このトッポッキが入ることで、ドラマの1シーンが鮮やかに蘇る。

 

 

ど真ん中は、キンパプ(韓国風のり巻)。

 

具として入っているのは、たくあん、ハム、

ニンジン、卵焼き、キュウリ、カニカマボコの6品。

可もなく、不可もない味という印象。

 

 

右真ん中は、ナムル。

 

豆モヤシ、ニンジン、ワカメがゴマ油で和えてある。

特筆すべきは、上にちょこんとあしらわれた薄いカマボコ。

雪だるまの形に型抜かれたものが、2つ乗せられている。

 

これは言わずとしれた、南怡島の雪だるま。

冬ソナのシンボルとも言うべきキャラが、さりげなく潜んでいた。

こうした小技がきいているのは、かなりポイントが高い。

 

  

 

左下は、黒米ご飯。

 

黒米を胚芽米と一緒に炊き込んだもの。

韓国では一般的で、食堂などでもたまに出てくる。

栄養価が高く、食感もモチモチしておいしい。

 

右上の八穀米ご飯との、色の対比もきれいだ。

ごはんに手を抜かず、工夫を凝らしてあるのは嬉しい。

 

 

真ん中下は、プルコギ(韓国風焼肉)。

 

下にサニーレタスが敷いてあり、お品書きには、

「野菜と一緒に食べる」と、一言添えてあった。

試しに、八穀米ご飯を一緒に巻いて食べたら、なかなかおいしかった。

 

また、ここでも細かい気配りがされており、

プルコギの上には星型のパイナップルが2つ乗っている。

 

これはおそらくポラリスネックレスを表しているのだろう。

雪だるまといい、ポラリスといい、ここらの演出は気が利いている。

 

 

右下は、チヂミ(韓国風お好み焼き) 。

 

イカとニラが入ったチヂミで、上には糸唐辛子。

多くを語る必要のない平凡な味。

 

 

ということで、以上の9品。

食べた感想も少しずつ含めながら語ってみた。

 

中には味的にもうちょっとという料理もあったが、

トータルでみると、かなりの合格点だろう。

 

その中でも評価したいのは、すべてがきちんと韓国料理である点。

 

名ばかりの韓国「風」料理とは、ぜんぜん違う。

どの料理も韓国で、普通にみかける料理ばかりである。

うわべでごまかさず、基礎をしっかりさせたのは褒めていいと思う。

 

 

次に素晴らしいのが、マニア泣きポイントを多数用意した点。

 

南怡島の雪だるま、ポラリスネックレス、チュンサンが好きなトッポッキ。

 

冬のソナタを見たひとなら、誰しもが気付くこの演出。

ここまで細部にこだわって作られた弁当であれば、

「冬のソナタ弁当」の名に恥じることはまったくない。

 

これは大いに褒め称えたいと思う。

 

 

さらに加えて、もうひとつ。

 

料理の解説がしてある、お品書きがまたすごい。

 

弁当のフタを開けると、まず目に入るのだが、

なんと、このお品書き、マフラーを模した形になっている。

ご丁寧に前で交差した形に折りたたまれており、

それがミニョン巻きであることに気付かされる

 

よくもまあここまで、というこだわりよう。

便乗商法もここまでやれば、素直に頭が下がる。

 

 

 

これで1人前1000円なら安いのではないだろうか。

 

駅弁であることを考えれば妥当な値段だが、

労力を考えれば、ちょっと安すぎる気がする。

どこかできっと業者が泣いていることだろう。

 

この、冬のソナタ弁当は3月末までの限定販売。

 

このこだわりようで、この値段。

話の種に、1度試してみるのも悪くはないと思う。

 

 

日本レストランエンタプライズ

http://www.nre.co.jp/

 

 

 

戻る