美味なるニッポン!

第2回:なまはげのシメはババヘラで!

 

美味なるニッポン!第2回

 

<なまはげのシメはババヘラで!>

問題1、次の4つの中から仲間はずれをひとつ選びなさい。

1、ジャミラ

2、ケムラー

3、テレスドン

4、なまはげ

 

いきなり何事かというようなラインナップだが、

おそらく8〜9割くらいの人が正解を出せるのではないだろうか。

正解は4番。1番から3番までは怪獣の名前。

 

4番のなまはげは、

 

「泣ぐ子はいねがぁ!」

 

と奇声を上げながら、家までやって来る恐ろしい神様である。

男鹿半島で年に1度、大晦日の夜に行われる伝統的な民俗行事であり、

国の重要無形民俗文化財にも指定されている。

 

そもそも怪獣と並べること自体が失礼なくらいの存在だ。

 

 

それでは2問目はどうだろう。

 

問題2、次の4つの中から仲間はずれをひとつ選びなさい。

1、ゼットン

2、ダダ

3、キーラ

4、ババヘラ

 

これで正解率はぐっと落ちるはず。

びしっと答えられる人は、怪獣マニアか秋田県民に違いない。

 

正解は同じく4番のババヘラ。

 

1番から3番までは怪獣の名前。4番はアイスの名前である。

 

ババヘラの正式名称は、ババヘラアイス。

秋田地域で路上売りされているアイスの総称で、

ババはいわゆる年を召した女性、ヘラはアイスを盛るヘラを表している。

 

すなわち、ババがヘラで盛るからババヘラ。

 

嘘のような、冗談のようなネーミングだが、

なんと商標登録までされている立派な郷土菓子である。

 

秋田名物ババヘラ。

 

その名前の響きがなんとも楽しい。

単純明快でありながら、インパクトも充分。

 

「ババヘラ。ババヘラ。ヴァヴァヘラァ!」

 

3回唱えただけで、秋田まで食べに行きたくなる。

 

とはいえ、僕の住む東京から秋田まではかなりの距離。

アイスの為だけに出かけるのは、あまりお利口でない。

 

「さて、どうしたものか……」

 

と、悩んでいたところ、

 

「東京にも1軒だけ食べられる店があるよ」

 

という願ってもない情報が飛び込んできた。

しかも、それだけに留まらず、

 

「なんか、なまはげにも会えるらしいよ」

 

という、おまけの喜びまでついてきた。

 

なまはげに会えて、ババヘラが食べられる。

それは、ちょっとすごいことではなかろうか。

 

「ならば1度行かねばなるまい」

 

ということで、銀座までババヘラを食べに行ってきた。

ババヘラがあるのは、銀座の秋田料理専門店。

AKITA DINING なまはげ」という、いかにも秋田的な名前の店だ。

 

 

AKITA DINING なまはげ」では客がなまはげに襲われる。怖いけど楽しい。

 

銀座8丁目にあるビルの9階。

背の低いドアを、くぐり抜けるように入っていくと、

 

「いらっしゃいませー、よぐぎだなぁ!」

 

と、元気な声が飛んできた。

 

「よぐぎだなぁ」というのは「よく来たな」の秋田弁だと思われる。

店の造りも民芸的で、とにかく秋田を熱烈にアピールしているようだ。

 

この最後に決まり文句をつけるというのは、

ややマニュアル的で、客としては慣れるのに時間がかかる。

いらっしゃいませの後につく「デニーズへようこそ」や、

居酒屋での「はい、喜んで」などがよい例だろう。

 

AKITA DINING なまはげ」でも、新しい客が来るたびに、

 

「いらっしゃいませー、よぐぎだなぁ!」

 

というセリフが店中から飛び交っていた。

また、注文を取ったり、料理を持ってきたりしたときは、

 

「お待たせ致しました、ゆっぐりしでっでげれぇ」

 

というセリフが後ろにつく。

 

東北弁特有のあたたかさは感じられるものの、

慣れるまでは、ちょっと「おおお」と慌ててしまう。

店員が行った後、少しでも慣れようと

 

「ゆっぐりしでっでげれぇ、ゆっぐりしでっでげれぇ……」

 

と、口の中でモゴモゴと発音練習をしてみた。

だが、東北方言はとかくイントネーションが難しい。

結局最後まで「おおお」状態は変わらなかった。

 

 

メニューを開くと、秋田名物がずらりと並んでいる。

 

きりたんぽ鍋、比内地鶏という2大スターに加え、

ハタハタ麹漬け、山芋とんぶり、いぶりがっこなどが並ぶ。

食事系メニューには、あきたこまちのおにぎり、そして釜炊きの白飯。

有名な稲庭うどんに、横手やきそばまであった。

 

端から端まで、見れば見るほど秋田。

ドリンクメニューにも、秋田の地酒、焼酎が勢ぞろいである。

 

 

早速、秋田名物をあれもこれもと注文する。

 

あくまでもメインはババヘラだが、

デザートだけ食べてお会計、という訳にもいかない。

ババヘラは最後の楽しみとしてとっておこう。

 

という訳で、注文したのが以下。

 

  

(左)比内地鶏の「なまはげの塩」焼き

(中)比内地鶏のつくね焼き

(右)いぶりがっこ

 

比内地鶏は身がしまっており、みしっと噛みしめる感じ。

だからといって固い訳ではなく、身の部分はサクリと噛み切れる。

脂っこさはまったくなく、さっぱりとして香ばしい。

噛めば噛むほど旨味がにじみ出てくる。

 

特に、店自慢の「なまはげの塩」を使った焼き物は最高。

男鹿沖の海水を使った手造りの塩で、ミネラルが豊富に含まれているという。

この塩は食卓にも常備されており、他の料理にもあわせて楽しむこともできる。

 

比内地鶏のつくねもうまい。

 

一緒についてくるのは比内地鶏の卵。

箸でつついても、つくねの串を押し当てても、

黄身の部分がだらしなく破けることがない。

 

つくねがうまくて、卵がうまい。

一緒に食べると、さらにうまい。

 

比内地鶏をつまみに、秋田の地酒を冷やで2杯飲み、

あきたこまちのおにぎりと、稲庭うどんでシメたら相当な満腹になった。

満腹だけではない。相当な満足でもある。

 

 

(左)あきたこまちのおにぎり

(右)稲庭うどん

 

さあ、機は熟した。

ここで待ちに待ったババヘラを注文。

 

この店ではさすがにババがヘラを握るわけではないだろうが、

運ばれてきたのは、事前調査で見たものとまったく同じだった。

 

コーンの上にペタペタと盛られた2色のアイス。

バナナの黄色と、イチゴのピンクが巧みに織り交ぜられている。

 

「おおおお、これがババヘラ!」

 

舌でちょっと舐めてみると、意外にざらっとした舌触り。

アイスというよりも、シャーベットに近い食感。

そしてどこか懐かしいような甘さが口に広がる。

バナナ、イチゴの味が香料的だからかもしれない。

 

「うん、さっぱりとしていてうまい」

 

秋田の味覚のフィナーレとして、

まことにふさわしい、郷愁漂ううまさであった。

 

ババヘラアイス。なんだかとても懐かしい味

 

このババヘラが運ばれて来ると同時に会計をすませ、

ペロペロとなめながら、夜の街へと出た。

 

夜の涼しさとババヘラの冷たさが、日本酒酔いした身体に心地よい。

 

地下鉄の最寄駅にたどり着くのと、

ちょうどババヘラのコーンを食べ終えるのとほぼ同時だった。

 

ほろ酔いを適度に覚まして地下鉄へ。

 

ババヘラの魅力を、しっかりと堪能してきた。

 

注意:ババヘラを食べに行ったのは去年の10月です。冬の間はババヘラの製造がストップするため、「AKITA DINING なまはげ」のメニューからも外れるそうです。再びメニューに載るのは6月頃とのこと。もし行かれる方はご注意ください。

 

<美味なる料理データ>

美味なる料理 :ババヘラ

美味なるエリア:秋田

美味なる種類 :デザート

美味なる価格帯:地元では150円ほど

 

<美味なる料理リンク>

(有)進藤冷菓 『ババヘラ』オフィシャルサイト

http://www.babahera.net/index.php

AKITA DINING なまはげ

http://www.hy-japan.com/namahage/index.html

ウィキペディア ババヘラの項目

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%90%E3%83%98%E3%83%A9

ニフティデイリーポータルZ 秋田名物「ババヘラ」のこの頃

http://portal.nifty.com/koneta04/08/24/02/

 

 

 

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