美味なるニッポン!

第1回:新潟直送イタリアン

 

美味なるニッポン!第1回

 

<新潟直送イタリアン!>

新潟のイタリアンが食べたい。

 

かの有名な新潟のイタリアンをぜひ食べてみたい。

ああ、食べたい。本当に食べたい。

 

と、書いてどれだけの人がうんうんと頷けるだろうか。

 

「ああ、はいはい。新潟のイタリアンね」

「うん、あれは確かにおいしいよねえ」

「そういえばもう久しく食べてないなあ」

 

などと、イタリアンについて語り合える人は極端に少ないはず。

語り合えるどころか、むしろ、

 

「イタリア料理なんて東京でも食べられるじゃない」

「新潟に何か有名な店でもあるの?」

「それ、単に新潟まで行きたいだけじゃないの?」

 

という、冷たい反応が返ってくる程度だろう。

新潟のイタリアンはまだ極端に知名度が低い。

 

イタリアンといってもこういうことではない

 

では、その新潟のイタリアンとは何か。

 

イタリアンは新潟にしかない特別な麺料理なのだ。

特製ミートソースがどろっとかかった麺料理。

麺は自家製の太麺が使用される。

 

「え、それはイタリアンじゃなくてナポリタンじゃないの?」

 

という疑問を抱く人もいるかもしれない。

その気持ちもよくわかるが、ナポリタンとはまったく違う。

イタリアンで100%正しい。

 

まずイタリアンは、イタリア料理という意味ではない。

特定の麺料理をさした固有名詞。料理名なのである。

 

新潟県内には、みかづき、フレンドという2つのチェーンが存在し、

それぞれ新潟市、長岡市を中心に店舗展開している。

みかづきは長野県にも1店だけ支店をだしているが、

その他はすべて新潟県内だけの出店である。北陸近県にもない。

 

従って、新潟県の人にとっては非常に馴染み深い料理であるが、

その他の都道府県に住む人には、「なにそれ?」ということになる。

イタリアンは新潟だけしか食べられない、ご当地料理なのだ。

 

僕もこれまでイタリアンは名前しか知らなかった。

 

いつかは食べたいとは思っていたが、なかなか新潟に行く用事もない。

イタリアンを食べるためだけに新潟に行くというのも面白いが、

資金的に大きな散財を強いられることになり、これもやっぱり厳しい。

 

なかなか機会に恵まれないだろうな、と思っていたのだが、

この正月、意外なところからイタリアン初体験が現実のものとなった。

 

以下は昨年末、友人のI氏との会話である。

 

「今年は帰省できるんですか?」

「うん。なんとか帰れるみたい」

 

「新潟でしたよね」

「うん。そう」

 

「新潟というとイタリアンがありますね」

「ああ、よく知ってるねぇ。あれは新潟県民の心の料理だね」

 

「ぜひ1度食べてみたいんですが、なかなか新潟まで行く機会がなくて……」

「あー、じゃ帰省ついでに買ってきてあげるよ」

 

「えっ、どうやって!?」

「新潟から新幹線で3時間だからテイクアウトで持ってこればいい」

 

「あ、テイクアウトできるんですか!?」

「うん。東京駅まで来てくれれば、そこで渡すよ」

 

「行きます行きます。ぜひお願いします!」

「了解。じゃ、買ってくるよ」

 

ということで話がまとまり、イタリアンを運んでもらうことになった。

新潟からのテイクアウト。新潟直送イタリアンである。

 

  

東京駅の21番ホーム。MAXとき326号がイタリアンを運んでくる。

 

年が明けて1月2日。

僕はデジカメを携えて東京駅に向かう。

 

I氏の事前連絡によると到着は17時28分。

上越新幹線「MAXとき326号」に乗ってくるとのこと。

僕は大きな期待を胸に、指定された東京駅21番ホームで待機した。

 

東京駅の構内、新幹線ホームは多くの人でごった返していた。

正月を過ぎてから帰省する人もけっこう多いようだ。

家族連れ、大きな荷物を抱えた人が目立つ。

 

ホームで時計を見ると、まだ17時15分にもなっていなかった。

どうやら初イタリアンに興奮し、早く来すぎてしまったらしい。

正月早々、コリアンタイム精神をないがしろにしてしまった。

 

ホームの端から端までをウロウロしながら到着を待つ。

 

 

そして迎えた17時28分。

「MAXとき326号」は、ほぼ定刻に到着した。

I氏が乗る1号車前でカメラを構えて待つ。

 

列車が動きを止め、空気の破擦音を響かせてドアが開く。

大荷物の人たちが、少し疲れた表情で降りてきた。

 

さあ、イタリアン到着だぞ。

 

僕はI氏の到着する瞬間をファインダー越しに待つ。

 

「やあ、八田君」

「え!?」

 

「イタリアン買ってきたよ」

「あ、あれ? どこから出てきたんですか?」

「ん? あっちの出口から」

 

がーん。到着の瞬間を撮り逃した……。

 

「ま、ともかくイタリアン買ってきたから」

 

I氏がビニール袋を差し出す。

中に入っているのは、まごうことなきイタリアン。

 

「ちょっと冷めちゃったかもしれないけど」

「いやいやいや、わざわざ買ってきて頂いただけで充分です」

 

大興奮の中、駅構内で早速包みを開く。

 

 

新潟から直送されてきたイタリアン。東京駅構内で味わう

 

「おおー、これがイタリアンですか!」

 

麺の上にミートソースがかかっている。

麺は焼きそばよりも太く、うどんよりもちょっと細い。

ちょっと太目のストレート麺という感じだ。

 

「お、麺は炒めてあるんですね」

「うん。甘めのソースで炒めてあるんだよ」

 

具にはモヤシ、キャベツの姿が見える。

ミートソースにはコーンもあしらわれており、彩りもきれいだ。

麺の端っこにはイタリアンのこだわりである白生姜も見える。

紅生姜でなく白生姜というのがイタリアンの特徴だ。

 

「うーむ、イタリアンですねぇ」

「ま、とりあえず食べてみなよ」

「はい!」

 

フォークを手にとり、麺にミートソースを絡めて口に運ぶ。

 

「ずずっ。もむもむもむもむ……」

 

ソースのほのかな甘み。野菜もいい味だ。

全体的に柔らかい感じの味付けで、なんだか妙に懐かしい。

麺が太いのも独特の食感で面白い。

 

「むむ、給食に出てきそうな味ですね」

 

初体験なのに、どこかで食べたような味がする。

焼きそばや、焼きうどんをイメージしていたがそれとも違う。

過去に食べた麺料理のどれとも微妙に異なるが、

それでも懐かしい味に思えるのが不思議だ。

 

ミートソースに粉チーズ。

 

そのイタリアンな味付けと、

焼きそば風の甘いソースがよく合っている。

 

「冷める前だったら麺がもっとモチモチしているんだけどね」

 

なるほど。確かにあったかいうちなら、さらにうまいのは当然。

だが、それは現地でなければ食べられない味だ。

 

「なんだか懐かしい味ですねぇ」

「僕は本当に懐かしい」

 

そうか、I氏にしてみれば地元の味なのだ。

いろいろと思い出のある味なのだろう」

 

「最近はカレーイタリアンとかマーボ豆腐イタリアンなんてのもあるんだよ」

「へー、ずいぶんバリエーションが豊富なんですね」

「もう何がイタリアンなんだかわからないけどね」

「あはは。そりゃそうだ」

 

だが、いつかはそれらのイタリアンも食べてみたい。

 

ふと気付くと、2人で大盛りのイタリアンをペロリと食べていた。

 

「うん。うまかったです!」

「そうか。よかったよかった」

 

I氏がにっこりと笑った。

 

新潟のイタリアンは確かにうまかった。

 

 

新潟でしか食べられないイタリアン。

新潟県民であれば、誰しもが知っているというイタリアン。

そんな新潟のソウルフードを、少しだけ経験させてもらった。

わざわざ運んでくれたI氏に感謝である。

 

だが、その真価は現地に行かねばわからないのも確か。

まだ、イタリアンの魅力を垣間見たにすぎない。

 

「いつかは現地で食べたいですね」

 

そう、いつかは現地でも、ぜひ食べてみたい。

その日を心待ちにしながら……。

 

新潟のイタリアン、完食!

 

<美味なる料理データ>

美味なる料理 :イタリアン

美味なるエリア:新潟

美味なる種類 :麺料理

美味なる価格帯:400円前後

 

<美味なる料理リンク>

みかづき@WEB

http://mikazuki-go.com/index2.html

みかづきふぁん

http://www.geocities.co.jp/EpicureanTable/3042/

フレンド

http://www.e-friend.co.jp/

 

 

 

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