コリアうめーや!!メルマガバックナンバー

コリアうめーや!!第71号

 

 

<ごあいさつ>

2月も半ばを迎え、

春の訪れを感じるようになりました。

突然ポカポカと暖かい日があったり、

居酒屋のお通しに菜の花のおひたしが出てきたり。

しばらくは寒さと暖かさの行ったり来たりですが、

春になるのもそう遠くないということでしょう。

いまだ韓国ソウルは厳寒の中だそうですが、

そんなソウルでは熱い戦いが繰り広げられています。

なんと初めての大相撲韓国公演が実現。

14日、15日とソウルで行われ、

18日には釜山でも開催されるとのことです。

これもまた日韓の大きな文化交流ですよね。

初日の様子をテレビで見ましたが、

なかなかに盛り上がっていたようでした。

さて、今号のコリアうめーや!!ですが、

屋台のちょっとしたオヤツを紹介しようと思います。

小腹が空いたときに食べるとおいしいもの。

コリアうめーや!!第71号。

独善的かつワガママにスタートです。

 

<小腹が空いたら屋台へGO!!>

中途半端な時間にお腹が鳴る。

ぐー、きゅるるるるー、るるるる……。

時計を見ると、まだ食事をするには早い時間だ。

 

どうしようかな。軽く何か食べようかな。

ウドンの1杯でもずるずるっとすすって……。

と、ここで今夜のメニューを思い出す。

 

あっ、今日焼肉食べに行く約束したんだっけ。

 

ああー、ダメだ。ダメだ。ダメだ。

ここでウドンなんか食べたら、焼肉までに腹が減らないではないか。

満腹で焼肉なんて、考えただけでももったいない。

 

頭をぶんぶん振って、空腹を忘れようとするも、

腹の虫は、夜のことなどおかまいなしに、ぐぐぐ、ぐるぐるぐるぐー……。

まるで飢えた猛獣のように、低いうなり声をあげる。

 

ううう、とてもじゃないけれど、夜の焼肉までもちそうにない。

 

どうしようかな。少しだけ食べようかな。でも食べちゃうとな……。

そうやって悩み、半ば途方に暮れつつ、あたりを見まわすと、

あら、嬉しや。韓国には軽いオヤツを食べられる屋台があるのだった。

 

 

というわけで、今回はそんな韓国の屋台オヤツがテーマである。

 

代表的な屋台オヤツをずらずらと紹介し、

しかも独善的かつワガママに、おいしく食べる方法など語ってみたいと思う。

屋台オヤツは、気軽に食べられるわりに奥が深いのだ。

 

 

屋台にできる人だかり。小腹が空いたときは聖地に思える。

 

まず、先陣を切るのはケランパン。

 

ケランパンとは、中に目玉焼きを入れた今川焼きのこと。

通常アンコやクリーム、うぐいすあんなどが入るところに、

どうしたことか韓国では目玉焼きが入る。

 

外側を包む生地の素朴な甘さ。目玉焼きのかすかな塩気。

かじり始めはプリプリした白身を楽しみ、やがて濃厚な黄身が現れる。

これらの味が微妙に重なり合い、なんだかとても懐かしい味がする。

 

このケランパンのうまさを最大限に味わうには、

焼きたてアツアツを「歩きながら」というのが絶対条件である。

わざわざ、カギカッコでくくったように「歩きながら」食べねばならない。

 

たくさん買って家で食べるなどという所業は言語道断。

冷めたらあっという間においしくなくなる。

 

アツアツの黄身を口のなかでホゴホゴと転がしながら、

白い息をハフハフと吐き出しつつ食べてこそケランパンはうまい。

 

また、買ったケランパンをベンチに腰かけて……というのも却下。

日本的な感覚で多少行儀が悪かろうとも、かじりながら歩く楽しさを称えたい。

 

どうもやけに偏った意見のようではあるが、

独善的かつワガママに語るのだから、これでよいのだ。

 

  

ケランパン。卵が入っているので、1個でもそれなりのボリュームがある。

 

さて、2番手はプンオパンだ。

プンオパンとは日本でいうタイ焼きのこと。

ただし、韓国ではタイではなく、フナ(鮒)が名称として採用されている。

タイ焼きでなく、フナ焼きなのだ。

 

また、フナだけでなく、より高級なコイ(鯉)も登場している。

タイ焼きでも、フナ焼きでもなく、コイ焼き。

最近は「黄金のコイ焼き」などというのまで出ており、

もはやこうなってくると、何がなんだかわからない。

 

これすべて、配給する元のメーカーの違いで名付けられているのだが、

それぞれ微妙に味が異なり、こだわる人は好みできっちりと選ぶ。

 

だが、僕がこだわるのは、銘柄をどれにするかではない。

ケランパンは1個買って、歩きながら食べるのがうまいといったが、

プンオパンは断然たくさん買って、みんなで食べるほうがうまい。

 

日本のタイ焼きよりも小ぶりなので、パクパクと2つ、3つは楽に食べられる。

アンコの甘さがあっさりしていて、くどさがないというのもいい。

さらりパクリと、プンオパンは次々胃に収まっていく。

 

小ぶりなプンオパンを紙袋にどさっと入れてもらい、

これにみんなが手を突っ込みながら食べるというスタイルがよい。

1個では当然物足りないから、もうひとつ、もうひとつと手が伸びていく。

 

3個食べたからちょっと多いかもしれないな。

でもまだもう少しあるみたいだな。どうしようかな。

あ、あいつ4個目食べた。ようし、おれも負けちゃいられない。

 

というふうに迷いつつ、競争しつつ食べるのが楽しい。

たくさん食べられる魅力。それがプンオパンのいいところである。

 

  

プンオパン。右端のおいちゃんは南大門市場に行くと会える。

 

3番手には、ホットドッグをあげよう。

といっても、コッペパンの中にソーセージを挟むアレではない。

串に刺したソーセージに衣をつけて揚げた、いわゆるアメリカンドッグのことである。

韓国ではパンに挟んだものも、衣をつけて揚げたものもホットドッグと呼ぶ。

韓国語の発音としては「ハットグ」という感じだ。

 

このハットグのおいしさは、ひとえに店の人との勝負にある。

 

「すいません、ハットグ1本ください」

「はいよー」

 

と、この時に、店の人が並べてあるハットグをそのまま差し出すか、

あるいは、いったん油の中にひたし、温めてから差し出すかが重要な問題だ。

いうまでもなく、そのまま差し出された場合は負け。温めてもらったら勝ちである。

 

仮に揚げたてホヤホヤであったとしても、そのままホイッと差し出されたら負け。

まして、いつ揚げたのだろうというような、冷めきったものだと大負けである。

注文する前に一言いえばいいのだが、それをしないところに美学がある。

 

このおばちゃんは温めてくれるだろうか……というハラハラのもと、

注文して勝ちを得たときのうまさといったら最高である。

 

ちなみに現在まで、3勝8敗。

 

  

ノーマルなハットグ(左)とフライドポテトのついたゴージャスなハットグ。

 

どんどんいこう。4番手はおでん。

韓国のおでんは練り物中心で、長い串に刺されて売られている。

おでんのケースから串がニョキニョキと伸びる姿はなかなかに壮観である。

 

ちなみに日本のおでんを代表する、大根、卵、ハンペンなどは存在せず、

稀にコンニャクが串に刺さって売られているくらいである。

 

厳密にいえば、大根だけは汁に沈んでいることもあるが、

これは売り物ではなく、汁の味をさっぱりさせるために入れているのだそうだ。

ダシの染み込んだ大根といえば、おでんの象徴ともいうべきスーパースターだが、

韓国においては、練り物の引き立て役に甘んじている。

 

大根脇役、卵不在の韓国おでんにおいて、

最大のヨロコビは薬味醤油につけてかじるという点である。

 

ケースの中からおでんの串を1本抜き、

そばに置いてある薬味醤油にジャボンと浸して食べる。

 

だが、韓国のおでんは長い串に刺さっているので、

1回のジャボンでは全体にまんべんなく醤油がゆきわたらない。

半分まではおいしくかじっても、残り半分は味がついていないのだ。

 

さあ、どうする。

 

このまま味のついていないおでんをモサモサと食べるか。

あるいはかじり跡のついたおでんを、共用の薬味醤油にもう1度浸すのか。

大阪名物の串カツなどは、ソースの2度づけ厳禁という話も聞く。

 

どうする。どうする。どうする。

 

 

だが正解は、禁断の2度づけなのである。

 

韓国人はそんな細かいことにこだわらない。

よりおいしく食べるために、ジャボンジャボンと何度もつける。

かじり跡だろうが、かじりかけだろうがお構いなし。

 

この禁断の園に踏み込んでいくヨロコビこそが、韓国おでんの魅力である。

 

2度目。おれ2度目。いいのか。それをしてもいいのか。

ジャボン。ああっ、浸した。おれ浸した。かじったのに浸した。

ううう、うまい。おでん、うまい。2度づけバンザイ……。

 

というあたりに、韓国おでんの真実がある。

 

  

韓国のおでん。串が伸びていると、ついつい手も伸びてしまう。

  

ホットク。円形の専用コテをぎゅーっと押しつけて形を作る。

 

ずらずらとたくさん書いていこうと思ったら、

たった4種類でけっこうな量になってしまった。

とりあえず、次のホットクで最後にしようと思う。

 

ホットクとは、韓国のおやきのようなもの。

小麦粉を練って作った生地に黒砂糖や蜂蜜などの餡を入れたお菓子だ。

たっぷりのマーガリンをひいた鉄板で、円盤型に香ばしく焼く。

 

小麦粉のかわりにもち粉を使ったり、油を使わずカリカリに焼いたものなど、

一口にホットクといっても種類はずいぶん豊富である。

 

このホットクは、食べているうちに中の蜜がとろーりたれてくるのがいい。

 

がぶりがぶりと食べていると、最初のうちはいいのだが、

中盤から終盤にかけて、あちこちの噛み跡から中の蜜が漏れてくる。

 

ホットクを持つ手にたれてきて、「あっちぃ」とわめいたり、

おおっ、いかんいかん、などと言いながら、流れてくる蜜を慌ててすすったり。

紙袋の中で丸いホットクをあっちに回したり、こっちに回したりしながら、

それでもトロトロとたれてくる蜜が、なんともいとおしい。

 

気がつくと、子どもをあやすような顔になっている。

ホットクを食べている人は、例外なく無防備な笑顔なのだ。

 

 

さて、以上で屋台オヤツの話はおしまい。

あれが出てこないとか、これがなかったとかの意見があるかもしれないが、

それはまたの機会ということで、ご勘弁頂きたい。

 

まずは、ケランパン、プンオパン、ハットグ、オデン、ホットク。

この5種類も食べたら、小腹を満たすには充分である……。

どころか食べすぎてお腹がいっぱいだ。

 

と、ここで僕は我にかえる。

 

あ、夜に焼肉食べるんだったんだ……。

 

その魅力に絡めとられて、小腹を満たすどころか満腹になり、

あとで悔しい思いをするというのも、屋台オヤツの大きな魅力なのである。

 

<お知らせ>

屋台オヤツの写真がホームページで見られます。

よかったらのぞいてみてください。

http://www.koparis.com/~hatta/

 

<お知らせ2>

宝島社から出た2冊の韓国本が好調だそうです。

『別冊宝島976号 あの人の国、「韓国」を知りたい』(宝島社、定価1200円)

http://tkj.jp/bessatsu/4796639268/

『ハングル・スタートvol2』(宝島社、定価1238円)

http://tkj.jp/tkj/bessatsu/4796638601/

この2冊に八田氏が食べ物の話を書いています。

 

<八田氏の独り言>

バレンタインチョコまだ受付中。

 

コリアうめーや!!第71号

2004年2月15日

発行人 八田 靖史

hachimax@hotmail.com

 

 

 

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