コリアうめーや!!メルマガバックナンバー

 

コリアうめーや!!第28号

 

<ごあいさつ>

5月になりました。

日本は全国的にゴールデンウィークであります。

韓国のみなさん。悔しがってますか?

歯軋りしてますか? 地団太踏んでいますか?

振替休日という制度のない韓国では、

今年はずいぶん祝日が日曜日に食われているそうです。

さて、今回は旅行で仕入れた済州島料理特集。

うまいもの、たーくさんありました。

その中でも特に取り上げる一品。

キーボードを汚しては大変なので、

ぜひとも首からよだれかけをして読むことをお勧めします。

コリアうめーや!!第28号。

ちょっぴり自慢混じりにスタートです。

 

 

<海産物のうまい島、済州島!!>

    

(左)海産物が大量に入ったトゥッペギ。

(中)イセエビ、トコブシ、アサリなどの海産物が入る。

(右)トゥッペギを食べた西帰浦市のサンボ食堂。

    

(左)アマダイ焼き定食。

(中)西帰浦市の中央市場。

(右)西帰浦市の中央ロータリー。

 

「ほかに済州島にはどんな食べ物がありますか?」

「そうだねえ。アマダイは有名だねえ。」

「うん!! アマダイは絶対に食べたいと思ってたんですよ。」

「ほかには……。あ、そうだ。トゥッペギだね。」

「トゥッペギ?」

「そう、トゥッペギ。」

「はあ……。なんのトゥッペギですか?」

「トゥッペギはトゥッペギよ。おいしいわよ。」

「……?」

 

八田氏が済州島に着いて2日目。

「ヤギ汁」という強烈な料理を食べた食堂で、

目のくりっとした、かわいいおばちゃんと交わした会話である。

 

韓国語でトゥッペギとは、チゲやスープのたぐいを盛る器のこと。

少なくともソウルではトゥッペギなどという料理は聞いたことがない。

そう。例えていえば、おばちゃんとの会話は次のような感じだ。

 

「どんな料理がありますか?」

「そうねえ、鍋だね。」

「はあ……。なんの鍋ですか?」

「鍋は鍋よ。おいしいわよ。」

 

常識的な人であったら、頭上で「?」マークがマスゲームを始めるに違いない。

通常の料理名だったら、ただ「鍋」でなく、ナントカ鍋になるはずである。

 

トゥッペギも、ナントカトゥッペギだったら理解できる。

まさかトゥッペギがひとつ出てきて、器をそのままバリバリかじるのではあるまい。

トゥッペギの中に入っている食材が、あまりに一般的である為、

語るのも愚かという理由で、ただトゥッペギと呼ばれるのだろう。

 

かつて熊本で「肉そば」という料理を食べたことがある。

この場合、多くの人がイメージする肉とは、牛肉のことではないかと思う。

しかし、この店でただ「肉」とだけ書いてあるメニューは、

すべて「馬肉」を表すとのことだった。

 

熊本は知る人ぞ知る、馬肉の名産地。

熊本全域での常識かどうかは知らないが、少なくともその店では、

「肉=馬肉」という公式が出来あがっているのだった。

 

と、いうように、済州島でも、鍋=ナントカ鍋の公式があるに違いない。

八田氏が事前に調査した、済州島料理リストからはもれていたが、

そんな魅力的な名前がついている料理を放ってはおけない。

早速、食堂のおばちゃんが教えてくれたトゥッペギのうまい店に行った。

 

 

店は西帰浦市の中心地から少し外れたところにあった。

西帰浦市は済州島第2の都市で、ワールドカップの競技場があることでも有名である。

 

トゥッペギとは果してどんな料理であろうか。

若干緊張しながら、店のトビラをガラガラと開ける。

席について、まずはメニューに目を走らせた。

 

アマダイ焼き定食 1万3000ウォン(約1300円)

 

高い!! 

普通の食堂で1万ウォンを越える定食なんて初めて見た。

もしかすると、とんでもない食堂に入ってしまったのではないだろうか。

うまいと薦められてきたはいいが、みんなグルでぼったくりだったりしたら……。

良からぬ想像が頭をよぎる。

 

ずっと眺めていくと、メニューの最後にトゥッペギがあった。

 

トゥッペギ 8000ウォン(約800円)

 

普通の食事としてはやや高いが、アマダイほどではない。

 

「ご注文は?」

店のお姉さんがやってきた。

「あ、えーと。トゥッペギを。」

「はい。トゥッペギですね。」

 

よかった。トゥッペギできちんと通じた。

やはり、トゥッペギはトゥッペギであっているのだ。

 

メニューを見るとほかにも、タチウオの煮物やサバの煮物など、済州島を代表するメニュ

ーが並んでいる。アマダイも値段は高いが、済州島ではよく食べる魚で、これの生干しは

涙が出るほどうまい。実は今回、お土産用としてアマダイの生干しを2キロも日本に持ち

かえってきたが、これは市場で買ったため1キロ(7匹)でわずか1万ウォン(千円)だ

った。

 

 

グツグツと煮え立ったトゥッペギがやってきた。

黒い器の中で、真っ赤なスープが激しくあぶくを撒き散らしている。

一見しただけでは何が入っているのかさっぱりわからない。

八田氏はひとつ息を吐いて、スプーンを投入した。

 

がちん。

 

何か固いものに、ぶちあたった。

よく見えないが、なにか固いものが入っているらしい。

スプーンで下のほうからすくってみると、なんと小ぶりのエビが出てきた。

10センチくらいのエビ。殻はむかれておらず、そのまま入っている。

 

後で聞いたところによると、このエビはイセエビだとのこと。

イセエビの小さいやつをそのままスープにぶちこんだらしい。

なんて贅沢な……。思わず絶句してしまう。

 

イセエビ以外にもなんだか色々入っている。

スプーンでほじくり返してみると、今度はキラリと光る貝殻が出てきた。

と、同時に黒い身の部分も浮上してくる。

 

なんと、トコブシである。

 

トコブシとはアワビによく似た小ぶりの貝。

アワビよりも柔らかく甘味が強い。アワビ同様、高級食材だ。

 

さらに掘れば掘るほど、出るわ出るわ。

トコブシはゴロゴロ出てくるし、アサリはもっとたくさん入っている。

何か油揚げのようなものが浮いているなと思ったら、

それは溶けてバラバラになった、ウ、ウ、ウ、ウニではないか!!

 

イセエビ、トコブシ、アサリ、ウニ。

ちょっと待て、こんな贅沢をしてよいのか。

八田氏の人生はそんなに王侯貴族的なものであったか。

もしかすると明日交通事故で死ぬのではないか。

 

食材のエレクトリカルパレード。味のファンティリュージョン。

海産物のうまみがぎゅっと濃縮された、宝石箱のようなスープである。

 

むちゃくちゃうまい。

唐辛子の辛さ、味噌の香ばしさの影に、幾重もの濃厚な海の味がする。

夢中になってスープをすすり、貝をほじくり、イセエビの殻もむいて食べた。

ぐうの音も出ない。だたひらすらにうまい。

 

気がつくと鍋はからっぽ。

シアワセなため息が身体の奥底から「ほおっ」と出てくる。

ため息と一緒に魂まで抜け出ていきそうだった。

 

 

済州島は海産物がうまい島。

トゥッペギと呼ばれる料理は、海産物のオールスタートゥッペギだった。

済州島に行ったら、ぜひともトゥッペギを食べてきて欲しい。

地元の人が愛してやまない、済州島の味がそこにある。

 

 

<お知らせ>

トゥッペギの写真がホームページで見られます。

済州島特集も現在トップページで公開中。

よかったらのぞいてみてください。

http://www.koparis.com/~hatta/

 

<八田氏の独り言>

日本でも韓国でもよく聞かれます。

「あっちはワールドカップ盛りあがってるんだって?」

隣の芝生は青く見えるだけです。

 

コリアうめーや!!第28号

2002年5月1日

発行人 八田 靖史

hachimax@hotmail.com

 

 

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