コリアうめーや!!メルマガバックナンバー

コリアうめーや!!第111号

 

 

<ごあいさつ>

空を見上げると真っ白なイワシ雲。

これぞ日本の秋というような空を見てしまいました。

珍しく早起きをした昨日の朝のことです。

爽やかな朝の模範ともいえる瞬間でしたが、

早起きをして目指したのは新宿の歌舞伎町。

都会のカラス問題を写真に収めるという、

よくわからない仕事をしに出かけてきました。

歌舞伎町の朝って独特ですね。

朝だか夜の続きだかわからないような雰囲気に、

思わず朝からカレーなど食べてしまいました。

爽やかさも、中くらいなり、おらが秋。

さて、今号のコリアうめーや!!ですが、

日本の韓国料理事情を大胆に切りたいと思います。

大胆に切るといっても書いているのが僕なので、

微妙にマヌケな話になっているのが玉にキズです。

爽やかさが中くらいなら、内容も中くらい。

コリアうめーや!!第111号。

中庸をよしとする、スタートです。

 

<日本に押し寄せる食の韓流!!>

死語というほどではないものの、

ちょっと時期を外した言葉というのがある。

 

「ナウなヤングにバカウケ!」

「マブいギャルとニャンニャン!」

「ラッキーチャチャチャウー!」

 

までさかのぼると明らかに死語で逆に味わい深いが、

 

「想定の範囲内」

 

あたりの言葉をいま使うのはちょっと微妙だ。

短期間で消費しすぎて、言葉そのものがすでにカスカス。

瞬間的に流行した言葉は賞味期限が短い。

 

という話を冒頭に持ってきた理由は、

僕がいま「韓流」という言葉に悩んでいるからである。

 

ここ1年ほど日韓関係はすべて「韓流」でくくられてきた。

新聞、雑誌、テレビなど、すべてのメディアで語り尽くされたため、

「韓流」という言葉にはまるで新鮮味がない。

 

失敗した。もっと早くに書いておけばよかった。

今回のテーマは「食の韓流」なのである。

 

そもそも最初から「韓流」という言葉に馴染めなかった。

 

いや言葉そのものはいい。問題は読み方である。

巷ではなぜかこの言葉を「ハンリュウ」と読んでいるのだ。

確かに「韓」という漢字は韓国語で「ハン」と読む。

でも韓国語で読むなら発音変化して「ハルリュ」になる。

 

「韓」は韓国語で読み、「流」は日本語で読む。

 

その中途半端さがどうしても納得いかない。

中国語語源という人もいるが、調べるとそれも微妙なところらしい。

日本語なのだから「かんりゅう」でいいじゃないか。

 

と目くじらを立てるのは僕が「チゲ鍋」嫌いだからだろう。

なぜ「チゲ鍋」が嫌いかは創刊号のバックナンバーを参照のこと。

 

話が横道にずれた。

 

今回のテーマは「食の韓流」なのである。

 

このフレーズをいつか使おうと思っているうちに、

言葉の賞味期限が微妙に過ぎてしまったような気がする。

それを悲しむ冒頭というのが話の本筋である。

 

って、本筋に戻したところでたいした内容じゃないけどね。

 

 

僕が「食の韓流」を意識したのは今年の4月。

 

それまでも韓国料理への関心は徐々に高まっていたし、

コリアンタウンを中心に韓国料理の店も続々と増えていた。

 

だが4月に決定的な事件が起こったのだ。

 

東京渋谷にホンチョプルタクがオープン。

(注:日本での店名は「ホンチョぶるだっく」)

 

プルタクとは第82号でも紹介した超激辛鶏料理のこと。

特別な青唐辛子をソースに用い、韓国人でも食べられない辛さを実現。

口から「火」が出るほど辛い「鶏」料理という意味から、

プルタク(韓国語で「火の鶏」の意)という名がついた。

 

2004年の韓国はこの料理の大ヒットで激辛ブームに沸いた。

 

ソウルの繁華街はおろか韓国中にプルタク専門店があふれ、

他の飲食店でもさまざまな激辛料理が新メニューとして登場した。

 

ホンチョプルタクはそんな激辛ブームの火付け役であり元祖格。

その店が日本初進出を果たしたのだからこれは一大事だ。

 

 

本場韓国のホンチョプルタク。食べられないほど辛い。

 

これまで日本の韓国料理店といえば大きく分けて2種類だった。

 

ひとつは在日の人たちが経営する焼肉店や韓国家庭料理店。

もうひとつは韓国で育った韓国人が日本に来て始めた韓国料理店。

オールドカマー、ニューカマーという分類が主であった。

 

だが、渋谷にできたホンチョプルタクはこのどちらでもない。

 

韓国系資本が日本支店を作って進出してきた新たなケース。

 

ワールドカップや韓流の影響で韓国情報があふれ、

日本に韓国文化を受け入れる素地が出来た。

それを受けて、食分野でも日本への進出が始まったのだ。

 

実はこうした動きはホンチョプルタク以前にもあった。

ホンチョプルタクがオープンした渋谷には、

春川タッカルビ(閉店)や、鳳雛チムタクが出店している。

 

その中でホンチョプルタクが特に目を引いたのは、

韓国での流行から日本進出への期間が非常に短かった点。

 

「韓国の最新流行料理を日本で食べられるようになった!」

 

という強烈な印象を韓国ファンの間に与えたのである。

たいへんなレアケースであり、僕の周りでも大騒ぎになった。

 

日本が韓国ブームに沸いていたのも大きかった。

こうした韓国の大手チェーンの日本進出は今後も続き、

本場の韓国料理が日本のどこでも食べられるようになる。

そんな近未来像が頭の中を駆け巡った。

 

僕が「食の韓流」到来を予感した最初の瞬間である。

 

思えば、今回のネタはそのときに書いておくべきだった。

 

でなければ冒頭で死語だの賞味期限だのという、

言い訳じみた話を書かなくてもよかったのだ。

時を見定める能力が、僕には決定的に欠けている。

 

今になってウジウジ後悔しても後の祭りだが、

そのときに躊躇した理由が実はもうひとつある。

 

ホンチョプルタクの日本進出に大喜びして足を運んだところ、

韓国で感じたような殺人的辛さがまるで感じられなかったのだ。

 

韓国のプルタクといえば韓国人が涙を流すほどの辛さがウリ。

それに対し渋谷のプルタクはかなり手加減した辛さだった。

辛いことは辛いが、食べられないほどではない。

 

「食べられるプルタクなんてプルタクじゃない!」

 

と大いに落胆して帰ってきたのだが、

これも冷静になって考えてみると当たり前のこと。

 

韓国人が泣くような辛い料理を日本人が食べられる訳がない。

 

渋谷に出店していることからもターゲットは普通の日本人。

僕のような韓国慣れした日本人でなく、渋谷の若者に合わせるのは当然だ。

そして普通の日本人からすれば渋谷のプルタクも大変辛いのである。

 

コアな韓国好きは「本場と違う!」と文句を言うが、

数で考えれば、そんな韓国好きのほうが圧倒的に少数派。

 

普通の日本人に受け入れられなければ、日本では成功できない。

 

この事実に気付いたのは恥ずかしながら最近である。

 

そのきっかけとなったのはホンチョプルタクに続き、

韓国の大手飲食チェーンが続々と日本に上陸し始めたためだ。

 

 

 

渋谷のホンチョプルタク(ぶるだっく)。辛さは韓国のものよりも抑え目にしてある。左下の画像はクリックで拡大可。 拡大

 

7月に赤坂で韓国粥の専門店ポンチュクがオープン。

(注:日本での店名は「ボンジュク」)

 

韓国では460店舗を越える大規模チェーン(2005年9月現在)だが、

韓国料理としてはマイナーな、お粥専門店が進出してきたのには驚いた。

中国のお粥ならいざしれず、韓国のお粥はまだまだ知名度が低い。

 

「韓国のお粥で商売になるのだろうか」

 

と疑問視していたが、行ってみると店は超満員。

近所に勤めるサラリーマンやOLを中心に、

昼時には行列ができるほどの大盛況であった。

 

お粥というヘルシーさが受けているのかというとそうでもない。

メニューを見ると意外に韓国らしさも充分なのだ。

 

韓国ではお粥の代名詞ともいえるアワビ粥に始まり、

宮廷料理にも名を連ねる松の実粥、黒ゴマ粥、アズキ粥。

鶏肉と朝鮮人参を入れたサムゲタン風のお粥もある。

 

白菜キムチや大根の水キムチ(トンチミ)がつくのも韓国らしい。

店員もみな日本語の堪能な韓国人であった。

 

食べながらまわりの会話に耳を傾けてみると、

やはり刺激されるのか韓国に関する話題が多かった。

お粥はきちんと韓国料理として受け入れられているのだ。

 

確かにお粥であればプルタクのような辛さもないので、

わざわざ日本人の舌に合わせていく必要もない。

 

「なるほどなぁ……」

 

と大いに感心して店を後にした。

 

 

赤坂の一ツ木通りにあるポンチュク(ボンジュク)。右の写真はアワビ粥。クリックで拡大可 拡大

 

赤坂がお粥なら六本木はビビンバであった。

 

全州中央会館は韓国でもっとも有名なビビンバ専門店。

その日本1号店が6月にオープンしている。

(注:日本での店名は「中央会館」)

 

全州中央会館は創業が1956年という老舗。

韓国では石焼きビビンバを開発した店として知られている。

観光客の多い明洞地区に2店舗あるため日本人にも有名な店だ。

 

この店のオープンも僕には衝撃的だった。

 

「あの有名店が日本に支店を出したのか!」

 

という驚きもあったが、それ以上に驚いたのが

 

「開店から約4ヶ月、つい最近までまるで気付かなかった!」

 

という非常にマヌケな事実である。

 

これは僕だけではなく、僕の周りもノーマークだった。

日々韓国情報に目を走らせ、韓国人すら知らない現地情報をいち早くつかむ。

そんなスペシャリストたちの反応がこれである。

 

「ぜぇ〜んぜんっ知りませんでした〜★」

「全く知りませんでしたぁ〜」

「六本木に? ぜんぜん知らなかったですね」

 

とても開店4ヶ月後の会話とは思えない。

 

韓国ファンとしては赤っ恥ものの醜態であり、

コリアン・フード・コラムニストを名乗る僕に至っては、

打ち首、切腹、市中引き回しの刑でもおかしくない。

 

六本木周辺のランチ情報サイトやブログでは充分話題になっており、

地元ではそれなりの知名度をきちんと獲得しているようだ。

 

これまた日本の地でしっかりと地盤を築いている。

韓国の有名飲食店は、いまや日本にもごく普通に存在するのだ。

 

 

六本木の全州中央会館(中央会館)。ノーマルな石焼きビビンバ以外に、石焼き納豆ビビンバという日本向けメニューもある。右の写真はクリックで拡大可。 拡大

 

韓国の大手飲食チェーンの日本進出は今後も続くはず。

また1号店が成功すれば、徐々に店舗を増やしていくだろう。

 

日本進出チェーンとしては先行的立場にある鳳雛チムタクは、

先月末渋谷の1号店に続き、2号店を新大久保にオープンさせた。

この流れは日本の韓国料理事情を大きく塗り替えていく。

 

韓国料理店が密集するコリアンタウンにいかずとも、

身近な繁華街でいくらでも韓国料理を楽しめる日が来る。

 

それはもう遠い未来の話ではない。

 

ブームではない「食の韓流」がすぐ目の前まで来ている。

 

 

新大久保にオープンした鳳雛チムタクの2号店。右の写真は看板料理のチムタク。ぶつ切りにした丸鶏と野菜を甘辛く煮込んである。クリックで拡大可。 拡大

 

<おまけ>

日本に上陸したチェーン店データ

 

店名:鳳雛チムタク渋谷

住所:東京都渋谷区宇田川町13-16国際ビル3F

電話:03-5784-6981

HP:http://www.bongchu.co.kr/menujapan.asp

 

店名:鳳雛チムタク大久保

住所:東京都新宿区大久保2-7-2ニューハイム共栄2F

電話:03-3205-6582

HP:http://www.bongchu.co.kr/menujapan.asp

 

店名:ホンチョぶるだっく

住所:東京都渋谷区道玄坂1-3-11一番ビル2F

電話:03-5489-0655

HP:http://www.booldak.co.jp/

 

店名:中央会館

住所:東京都港区西麻布3-2-9 2F

電話:03-5474-0388

HP:http://ee-jeonju.com/jp/

 

店名:ボンジュク

住所:東京都港区赤坂3-18-19

電話:03-3505-0609

HP:http://www.bonjuk.co.kr/(韓国語)

 

<お知らせ>

今号で紹介した料理の写真がホームページで見られます。

よかったらのぞいてみてください。

http://www.koparis.com/~hatta/

 

<お知らせ2>

前号でもお伝えしましたが、今月25日に新しい本が出ます。タイトルは『一週間で「読めて!書けて!話せる!」ハングルドリル』。前作の『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』に続く内容として、ハングルの習得から韓国語の超基礎編にまで突入した初心者向けのテキストです。新刊発売前のワサワサした状況ですが、『3日で終わる文字ドリル 目からウロコのハングル練習帳』は2回目の増刷(3刷)が行われました。この勢いを新刊にも注入して欲しいと心から願っております。

 

<八田氏の独り言>

次はどんな飲食店がやってくるのでしょう。

個人的にはシンソンソルロンタンに来て欲しいです。

 

コリアうめーや!!第111号

2005年10月15日

発行人 八田 靖史

hachimax@hotmail.com

 

 

 

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