コリアうめーや!!メルマガバックナンバー

コリアうめーや!!第107号

 

 

<ごあいさつ>

8月15日になりました。

日本ではお盆連休の真っ最中ですが、

韓国も今日が「光復節」という祝日で3連休です。

光を取り戻した日という意味で、要は解放記念日のこと。

終戦の日として正午に黙祷を捧げるとともに、

隣国のことにも目を向けて頂ければと思います。

さて、そんな休みのさなかではありますが、

メルマガはしっかりと配信いたします。

今号も前号、前々号に引き続き、

7月の訪韓で仕入れてきたネタを大公開。

しかも今号は美味しい料理の紹介に留まらず、

美味しい料理を探すマル秘テクニックも紹介しています。

コリアうめーや!!第107号。

ひと粒で2度美味しい、スタートです。

 

<韓国美食探しのマル秘テクニック!!>

飛び込みで美味しい店を見つけるのは難しい。

 

日本にいても難しいのだから、外国ではなおさらだ。

独特の嗅覚を発揮しピンポイントで見つけられる人もいるだろうが、

選ばれし人の特殊能力ということで今回は脇によけておきたい。

 

僕自身もごく稀にそうした嗅覚を発揮できることがあるが、

ごく稀という時点で、それがただの偶然でしかないとわかる。

 

絶対音感のような食分野の絶対嗅覚が欲しい。

トリュフ犬のように美味しいものを探し出す能力が欲しい。

 

そう切望する僕は、美味しいもの探しの凡人である。

 

海外の場合ガイドブック類も大きな力を発揮するが、

記事を鵜呑みにして期待ハズレということも少なくない。

 

いったいどうしたら美味しい店に出会えるのか!

 

そんな悩みに、今回はひとつの答えを提示したいと思う。

僕が悶え苦しみながらやっと編み出した最高のマル秘テクニック。

本邦初公開。秘伝中の秘伝を出血大サービスだ。

 

というあたりで、いつもならいったん別の話題を振り、

オチを最後に回して話を引っ張るのだが、今回はちょっと展開が違う。

 

実は派手にぶち上げたわりに、内容がしょぼいのだ。

 

到底オチまで引っ張る力はないと見て、いきなり答えを出してしまおう。

くれぐれもオチだけ読んで、ウインドウを閉じないで欲しい。

 

韓国で美味しい店に出会うマル秘テクニックはコレ。

 

 

「地元の人に聞く!」

 

 

ばばーん。どどーん。ががーん。

ぱんぱかぱーん。どんどんぱふぱふ。

 

効果音をつけて迫力を出してみたがやっぱり地味だ。

というか、わざわざテーマにして書くような内容ではない気がする。

ノリノリで書き始めたのだが、ここにきて少々疑問がわいてきた。

読者諸氏のため息もすぐ耳元に聞こえる気がする。

 

やがて失笑や冷笑になるのかもしれないが、

実は今回の訪韓でこの事実を強く再認識してきた。

 

ごくごく当たり前のことで、あえてマル秘テクニックと呼ぶほどでもないが、

あまりに感動的な出来事だったので体験談として書き残したい。

 

 

この日舞台となったのは新林洞という町。スンデタウンがあることで有名。

 

始まりは不運の連続であった。

 

事前に予定していた店がよもやの閉店。

がっくりしたまま友人にキャンセルの電話を入れ、

 

「じゃあ、うちの地元においでよ。超オススメの店があるから!」

 

の声に気を取り直して出かけてみると、なんとそこも定休日。

左フックと右アッパーをいっぺんにくらったようなダメージだった。

 

僕にとって韓国での1食1食は、命の次7番目くらいに大事。

 

なにしろ1回の食事がメルマガ1本ぶんになるのである。

半月ネタに苦しむことを考えると、韓国での1食は普段の……

 

「えーと15日かける3食だから……」

 

さんじゅう……い、いや、45倍ほどの比重を占める。

 

定休日だと知って瞬間的に青ざめる僕。

友人も予想外という表情で固まっている。

 

これは今日の食事は諦めるしかないか……。

 

そう思いかけた次の瞬間。

友人は再び笑顔に戻って言った。

 

「じゃ、また別のところに行こうか」

「え、他にも何か心あたりの店があるの?」

「何言ってんの。ここは地元だからいくらでもオススメはあるよ」

「なるほど!」

 

その笑顔のなんとも頼もしかったこと。

そして、次に行った店が予想外の大当たりだったのである。

 

雑居ビルの地下にある薄暗い居酒屋。

 

自分1人だったら入ろうとも思わないし、

たとえ入りかけたとしても雰囲気を見て逃げ出しただろう。

怪しげなネオンをくぐって友人は階段をおりていった。

 

そんな店だが、中は若者でいっぱいだった。

 

 

看板の下をくぐるといきなり正面に炭火のオブジェ。右手に下へおりる階段がある。

 

「む、これは期待できるかも!」

 

と思ったのは、他テーブルの雰囲気を見てである。

 

どのテーブルにも美味しそうな料理が並んでいる。

居酒屋系の店は通りいっぺんの料理しか出ないこともあれば、

工夫を凝らした新料理がどっさりということもある。

 

どうやらこの店は後者のほうであるようだった。

 

友人の友人も合流し、総勢5名で料理を注文する。

韓国料理を食べるときはやはり大人数がいい。

あれやこれやと大騒ぎしながら料理を決めていく。

 

「八田くんは何か食べたいものある?」

「んー、あのテーブルの巨大な料理はなんだろう」

 

あちこちのテーブルを眺めていて、

いちばん気になったのがナナメ後ろの席だった。

 

4人の若者が、まな板に乗った巨大な料理を食べている。

 

男性の二の腕か小さいマクラほどのサイズ。

ボンレスハムを切らずに置いたらあのくらいだろうか。

フランスパンのようにも見えるが、色がパンよりも黄色い。

 

友人が首を伸ばしてその料理を確認する。

 

「あー、ケランマリね。じゃ、それも頼もう」

「え、ケランマリ! あれが!?」

 

ケランマリとはいわゆる卵焼きのこと。

日本のだし巻きとは違い、どちらかというとオムレツに近い。

居酒屋ではボリュームのあるサイズでも出てくるが、

後ろの席に見えるのは桁違いの大きさだった。

 

「あのフランスパンがケランマリ……」

 

一瞬まさかとも思ったが、出てきたのはやはりケランマリだった。

しかも遠目から想像したよりも、実物ははるかに巨大である。

 

それもそのはず。

 

このケランマリには「卵18個!」が使用されているのだ。

 

5人で食べても1人3個半以上の卵を食べる計算になる。

 

「これは何かの冗談なのかな……」

「ん? たくさん食べられていいんじゃない」

 

半笑いで問いかけた僕に対し、友人がこともなげに答える。

 

僕を除いた4人の韓国人は特に驚いたふうでもなく、

さっそくナイフとフォークでケランマリを切り分け始めていた。

あまりの大きさでナイフ、フォークがオモチャのように見える。

 

その巨大さに途中で飽きるかとも思ったが、

食べてみると意外なことに箸がどんどん進む。

 

具にはタマネギ、ニンジンなどの野菜が入っており、

中央部にはチーズが巻かれていてトロトロにとろけていた。

これをケチャップとマスタードソースで食べる。

 

卵をワシワシと食べるのも、なかなかオツな体験だとわかった。

 

 

 

問答無用の巨大ケランマリ。左下の写真はクリックで拡大可。 拡大

 

アツアツのケランマリを食べつつ焼酎を飲む。

 

そしてこの焼酎がまた普通ではなかった。

この店では最近流行のフルーツ焼酎にして出してくれるのだ。

 

焼酎を頼んだら、パイナップルがひとつドドーン!

 

パイナップルがなぜ……と驚いていると、

頭のところがカパッと外れ、中には焼酎が注がれていた。

パイナップルの中をくり抜いて容器にしているのだ。

 

焼酎はもっともポピュラーなチャミスルという銘柄だが、

パイナップルの果汁が混ざってまろやかな甘さになっている。

 

飲み口がよくフルーティな味わい。

 

飲みきったらさらに焼酎を追加し、

パイナップルの内側を削って加えてもいい。

 

スイカやメロンの皮までかじるようで意地汚いが、

酔っ払っているときはこういう些細なことがとても楽しい。

 

 

パイナップル焼酎。最近こうしたフルーツ焼酎が流行している。

 

「いやあ、いいねえいいねえ!」

 

今日の食事をいったんは諦めかけただけに、

僕としても本当に嬉しいアタリ店であった。

 

満足していると、最後に店いちばんの名物が出てきた。

後から知ったことだが、看板メニューがこの料理だとのこと。

 

その名もタッパル。鶏の足である。

 

日本ではその形状からモミジと呼ばれ、

スープのダシをとるのに使われたりする。

中華料理でも食べるが、韓国料理でもよく食べる。

 

しばらく前までは屋台で食べるようなマイナー食材だったが、

去年あたりから少しずつ注目を浴びるようになってきた。

 

鶏肉を激辛に味付けたプルタクという料理が流行し、

アレンジメニューとして激辛のタッパルも売られるようになったのだ。

この店のタッパルもやはり激辛味に仕立てられていた。

 

鶏の足だけが皿に山盛りで出てくる。

 

そのシュールな眺めをひとしきり楽しんだ後、

骨が抜かれてふにゃふにゃのタッパルを口にする。

 

ほどよい脂とたまにプリッする食感。

モモ肉ほどのジューシーさはないが、旨みでは負けていない。

味つけが激辛なのでいっぺんに多くは食べられないが、

可能ならばワシワシと食べたい味であった。

 

 

皿いっぱいの鶏の足。想像よりもグロさはない。

 

「いやあ、さすが地元だね。本当にいい店だ」

 

わざとらしく目の前でパチパチと手を叩く。

友人も飲んで気分がよくなったのか、満足げに胸を張ってみせた。

 

「でもね、行きつけのいい店はまだまだあるんだよ」

「いいねぇ。すると今日はハシゴ酒だね」

「じゃあ、ここはこのへんにして次の店にも行こうか」

「行こう行こう!」

 

と盛り上がって2軒目に。

 

2軒目の店ではモジュという伝統酒を飲みつつ、

カキのたっぷり入ったパジョン(ネギのチヂミ)を食べた。

 

しかもそれだけでは終わらず、3軒目で流行のヨーグルトアイスを食べ、

4軒目では何故かハニートーストをつまみにビールを飲んだ。

ベロベロに酔っ払って5軒目はカラオケである。

 

そのどれもが楽しく、自分だけでは行かないような店ばかりだった。

 

入念な下調べをして、確実にネタとなる料理を食べ歩くよりも、

地元の人の情報に任せたほうが、より意外な美味しいものに出会える。

そんな当たり前の真実を再確認した一晩だった。

 

「美味しいものを食べたいなら地元の人に聞け!」

 

地味だがやはりこれがマル秘テクニックなのである。

 

 

 

マッコルリにも似たモジュ(母酒)という伝統酒。カキのパジョンとよく合った。下の写真はヨーグルトアイスとハニートースト。

 

<お知らせ>

特大ケランマリ他の写真がホームページで見られます。

よかったらのぞいてみてください。

http://www.koparis.com/~hatta/

 

<八田氏の独り言>

韓国に行ったら5次会6次会は当たり前。

そして翌日も同じ展開になったりします。

 

コリアうめーや!!第107号

2005年8月15日

発行人 八田 靖史

hachimax@hotmail.com

 

 

 

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